リッカチ方程式の解法|非線形微分方程式の解法②

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今回は非線形微分方程式の一種である、ベルヌーイの微分方程式の解法について説明します。

リッカチ方程式とは?

$P(x),Q(x),R(x)$ を $x$ の多項式として、以下で表される非線形微分方程式をリッカチ方程式と呼ぶ。

\begin{split}
\ff{\diff y}{\diff x}+P(x)y+Q(x)y^2+R(x)=0\\
\,
\end{split}

なお、リッカチ方程式の一般解は次の様になります。

リッカチ方程式の一般解

リッカチ方程式の一般解 $y$ は次の様に与えられる。

\begin{split}
y&=u+\ff{1}{A\A(x)+\beta(x)}
\end{split}

ただし、$u$ を以下のベルヌーイの微分方程式の解、

\begin{split}
\ff{\diff z}{\diff x}+P(x)z+Q(x)z^2=0\\
\end{split}

$A$ を定数、$\A(x)=\DL{\exp \left\{\int \Big(P(x)+2u\cdot Q(x)\Big)\diff x \right\}},$ $\beta(x)=\DL{\A(x)\int \ff{Q(x)}{\A(x)}\diff x}$ とする。

始めに、リッカチ方程式の概要について説明します。

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リッカチの微分方程式とは?

早速ですが、以下のように表される非線形微分方程式のことをリッカチ方程式と呼びます。

リッカチの微分方程式とは?

$P(x),Q(x),R(x)$ を $x$ の多項式として、以下で表される非線形微分方程式をリッカチ方程式と呼ぶ。

\begin{split}
\ff{\diff y}{\diff x}+P(x)y+Q(x)y^2+R(x)=0\\
\,
\end{split}

リッカチ方程式は現代制御理論などの幅広い応用先を持つ方程式と言えます。

さて、リッカチ方程式の形を良く見ると、ベルヌーイの微分方程式と似た形をしていることに気が付きます。これは偶然の類似では無く、リッカチ方程式を解く際の重要な手掛かりとなります。

リッカチ方程式とベルヌーイの微分方程式の関係

前述の気づきを元に、リッカチ方程式ベルヌーイの微分方程式に帰着してみます。

ポイントとなるのは、リッカチ方程式がベルヌーイの微分方程式の非斉次方程式と見なせることです。すなわち、元のリッカチ方程式の $R(x)=0$ とした以下の方程式は、

\begin{split}
\ff{\diff y}{\diff x}+P(x)y+Q(x)y^2=0\\
\end{split}

は正しく、$n=2$ とした場合のベルヌーイの微分方程式となる点です。

今、上式の解を $u(x)$ とすると、リッカチ方程式の斉次方程式の解(=基本解)とも見なせることに注意して下さい。

さて、非斉次方程式の解は基本解と特解の和と表せることを思い出しましょう。すると、リッカチ方程式の解 $y$ を $y=u+w$ と置けることが言えます。

このように解を仮定して、最初のリッカチ方程式に適用すると以下が成立し、

\begin{split}
0&=\ff{\diff (u+w)}{\diff x}+P(x)(u+w)+Q(x)(u+w)^2\EE
&=\left( \ff{\diff u}{\diff x}+P(x)u+Q(x)u^2 \right)+\left\{ \ff{\diff w}{\diff x}+P(x)w+Q(x)(2uw+w^2) \right\}
\end{split}

右辺第一項は前述の結果より $0$ と言え、そして、右辺第二項についても以下が成立するので、

\begin{split}
\ff{\diff w}{\diff x}+P(x)w+Q(x)(2uw+w^2) =0
\end{split}

これを整理して、

\begin{split}
\ff{\diff w}{\diff x}+\Big( P(x)+2u\cdot Q(x) \Big)w+Q(x)w^2=0
\end{split}

が導けます。このように、特解 $w$ についてもベルヌーイの微分方程式に帰着できることが分かります。以上、二本のベルヌーイの微分方程式を解くことで、目的のリッカチ方程式の解が得られると言えます。

リッカチ方程式の一般解の導出

上の結果を用いることで、リッカチ方程式の一般解が得られます。まず、$R(x)=0$ とした

\begin{split}
\ff{\diff y}{\diff x}+P(x)y+Q(x)y^2=0\\
\end{split}

の解を $u$ として、元のリッカチ方程式の解を $u$ と特解 $w$ との和、$y=u+w$ とします。すると、リッカチ方程式の特解 $w$ については

\begin{split}
\ff{\diff w}{\diff x}+\Big( P(x)+2u\cdot Q(x) \Big)w+Q(x)w^2=0
\end{split}

という関係が得られます。ベルヌーイの微分方程式の一般解より $w$ は、

\begin{split}
\ff{1}{w}=B\,\A(x)+\A(x)\int \ff{Q(x)}{\A(x)}\diff x
\end{split}

と表せます。ただし、$\A(x)=\DL{\exp \left\{\int \Big(P(x)+2u\cdot Q(x)\Big)\diff x \right\}}$

最初のリッカチの微分方程式について、その解は $y=u+w$ で置いていたことを思い出すと、

\begin{split}
y=u+w=u+\ff{1}{A\A(x)+\beta(x)}
\end{split}

とできます。ただし、$\beta(x)=\DL{\A(x)\int \ff{Q(x)}{\A(x)}\diff x}$ とします。以上より、冒頭に示したリッカチ方程式の一般解が導出できました。

リッカチ方程式の一般解

リッカチ方程式の一般解 $y$ は次の様に与えられる。

\begin{split}
y&=u+\ff{1}{A\A(x)+\beta(x)}
\end{split}

ただし、$u$ を以下のベルヌーイの微分方程式の解、

\begin{split}
\ff{\diff z}{\diff x}+P(x)z+Q(x)z^2=0\\
\end{split}

$A$ を定数、$\A(x)=\DL{\exp \left\{\int \Big(P(x)+2u\cdot Q(x)\Big)\diff x \right\}},$ $\beta(x)=\DL{\A(x)\int \ff{Q(x)}{\A(x)}\diff x}$ とする。

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