放物線のフーリエ級数展開の導出|フーリエ級数展開の具体例④

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矩形波のフーリエ級数展開に引き続き、今回は放物線フーリエ級数展開の導出過程について説明します。さて、結論を先に示すと、放物線のフーリエ級数展開表示は以下のようになります。

矩形波のフーリエ級数展開表示

周期 $2\pi$ の放物線 $f(x)=x^2$ のフーリエ級数展開表示は以下のように表せる。

\begin{split}
f(x) =x^2&= \ff{2}{3}\pi^2+4\sum_{k=1}^{\infty}\ff{(-1)^k}{k^2}\cos kx
\end{split}

放物線の周期関数の模式図

これの導出過程を以下で説明していきます。

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放物線のフーリエ級数展開の導出

下図のような、周期が $2\pi$ の放物線 $f(x)=x^2$ のフーリエ級数展開を導いていきます。

放物線の周期関数の模式図

目指す形は下のような級数展開表示です。

\begin{eqnarray}
f(x) &=& \ff{a_0}{2} + \sum_{k=1}^{\infty}\left( a_k\cos kx + b_k\sin kx \right)
\end{eqnarray}

このとき、$a_k, b_k$ はフーリエ係数と呼ばれ、今回の場合は次の様に表現されます。

$$
\left\{
\begin{eqnarray}
a_0 &=& \ff{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi} f(x) \diff x \EE
a_k &=& \ff{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi} f(x)\cos kx \diff x \EE
b_k &=& \ff{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi} f(x)\sin kx \diff x
\end{eqnarray}
\right.
$$

さて、今回の放物線の周期関数 $f(x)$ は前述のように $f(x)=x^2$ です。そのため、$a_0,a_k,b_k$ 等の各フーリエ係数はこのように求められます。

\begin{split}
a_0 &= \ff{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi} f(x) \diff x \EE
\pi a_0&=\int_{-\pi}^{\pi} x^2\diff x=\ff{2}{3}\pi^3 \EE
\therefore\, a_0&=\ff{2}{3}\pi^2
\end{split}

次に $a_k$ は、

\begin{split}
a_k &= \ff{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi} f(x)\cos kx \diff x \EE
\pi a_k&=\int_{-\pi}^{\pi} x^2\cos kx\diff x \EE
&=\left[ \ff{x^2}{k}\sin kx \right]_{-\pi}^{\pi}-\ff{2}{k}\int_{-\pi}^{\pi} x\sin kx\diff x \EE
&=-\ff{2}{k}\left(\left[ -\ff{x}{k}\cos kx \right]_{-\pi}^{\pi}+\ff{1}{k}\int_{-\pi}^{\pi} \cos kx\diff x \right) \EE
&=\ff{4\pi}{k^2}(-1)^k \EE
\therefore\, a_k&=\ff{4}{k^2}(-1)^k
\end{split}

となります。最後に $b_k$ は、

\begin{split}
b_k &= \ff{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi} f(x)\sin kx \diff x \EE
\pi b_k&=-\int_{-\pi}^{\pi} x^2\sin kx\diff x
\end{split}

今、$x^2$ は偶関数で $\sin kx$ は奇関数のため、$x^2\sin kx$ は奇関数となります。ゆえに、上の積分結果は $0$ となります。ゆえに、$b_k=0$ となります。

以上にしてフーリエ係数が求められたので、放物線波のフーリエ級数展開が以下のように表せます。

\begin{split}
f(x) &= \ff{2}{3}\pi^2+4\sum_{k=1}^{\infty}\ff{(-1)^k}{k^2}\cos kx
\end{split}

冒頭に示した矩形波のフーリエ級数展開が導けました。

放物線のフーリエ級数展開の近似精度の確認

上で導いた放物線の周期関数のフーリエ級数展開について、実際に描画すると以下のようになります。

放物線の周期関数のフーリエ級数展開表示

上図より $k$ の増加に伴って放物線の周期関数にどんどん近づいていくことが分かります。

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