今回は、偏微分方程式を解く際に力を発揮するフーリエ変換について説明します。
$f(t)$ を $(-\infty, \infty)$ で定義された関数とする。このとき、$w$ の関数
\begin{eqnarray}
\F[f(t)] = F(w) = \ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-iwt} \diff t
\end{eqnarray}
を $f(t)$ のフーリエ変換と呼び、$\F[f(t)]$ または、$\F[f]$ と書く。
なお、フーリエ変換と似た操作であるラプラス変換についてはこちらで説明を行っています。
フーリエ変換の定義
早速ですが、以下のように定義される操作のことをフーリエ変換と呼びます。(※ $\F$ は$F$ の筆記体です)
$f(t)$ を $(-\infty, \infty)$ で定義された関数とする。このとき、$w$ の関数
\begin{eqnarray}
\F[f(t)] = F(w) = \ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-iwt} \diff t
\end{eqnarray}
を $f(t)$ のフーリエ変換と呼び、$\F[f(t)]$ または、$\F[f]$ と書く。
一般に $w$ が実数でなく、複素数であったとしてもフーリエ変換が実行できます。
フーリエ変換の物理的な意味としては、対象の関数 $f(t)$ を波数成分に分解する操作と見なせます。つまり、角振動数 $w$ の波 $e^{iwt}$ についての振幅 $F(w)$ を、上の操作により得るのに相当するということです。
フーリエ変換の性質と具体的な計算方法については、今後説明していきます。
フーリエ変換の存在条件
ラプラス変換の収束条件と同様、フーリエ変換についてもこの変換が存在するための条件があります。証明は割愛しますが、その条件は次のようなものです。
$f(t)$ が区間 $(-\infty,\infty)$ にて無限積分が可能(=絶対可積分)ならば、フーリエ変換 $\F[f(t)]$ が存在する。
フーリエ変換とフーリエ複素積分表示の関係
フーリエ変換の定義を示すだけではつまらないので、以前求めたフーリエ複素積分表示との関係を示していきます。
さて、ある関数 $f(t)$ が区分的に連続な関数とします。このとき、フーリエ複素積分表示を用いて $f(t)$ は以下のように表せました。
\begin{split}
f(t)= \ff{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}\left\{\int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{iw(t-u)} \diff u \right\}\diff w
\end{split}
これは次の様に変形できます。
\begin{split}
f(t)&= \ff{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}\left\{\int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-iwu} \diff u \right\}e^{iwt} \diff w \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}\left\{\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}f(t)e^{-iwu} \diff u \right\}e^{iwt} \diff w
\end{split}
上式の中括弧の中身は、前述のフーリエ変換と一致します。このように、フーリエ変換は孤立した概念ではなく、フーリエ複素積分表示、ひいてはフーリエ級数展開と確かな繋がりを持つ操作であることが分かります。
フーリエ変換の反転公式
上で得た関係について、もう一歩考えを進めてみましょう。上式より、
\begin{split}
f(t)&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}F(w)e^{iwt} \diff w
\end{split}
が言えて、これは見方を変えると、フーリエ変換後の関数 $F(w)$ を変換前の関数 $f(t)$ に戻す操作と見ることもできます。
似た操作としてラプラス逆変換の公式に相当するブロムウィッチ積分があり、これに倣って上式はフーリエ変換の反転公式と呼ばれます。
$f(t)$ をフーリエ変換した関数を $F(w)$ とする。このとき、以下のフーリエ変換の反転公式が成立する。
\begin{split}
f(t)&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}F(w)e^{iwt} \diff w \\
\,
\end{split}