ステップ関数とデルタ関数のフーリエ変換の導出|フーリエ変換の具体例と応用①

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今回は、ステップ関数(ヘヴィサイドの単位階段関数)とディラックのデルタ関数フーリエ変換を導きます。

ステップ関数とデルタ関数のラプラス変換

ステップ関数 $u(t)$ とデルタ関数 $\delta(t)$ のフーリエ変換は次の様に表せる。

$$
\left\{
\begin{split}
&\F[u(t)]=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\ff{1}{iw}\EE
&\F[\delta(t)]=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}
\end{split}
\right.
$$

なお、これらの関数を $a$ だけ平行移動させた場合のフーリエ変換は、移動法則より次の様になる。

$$
\left\{
\begin{split}
&\F[u(t-a)]=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\ff{e^{-iaw}}{iw}\EE
&\F[\delta(t-a)]=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-iaw}
\end{split}
\right.
$$

ただし、$i$ を虚数単位、$a$ を実数定数とする。

今回はこれらの結果の導出過程について説明します。始めに、ステップ関数(ヘヴィサイドの単位階段関数)のフーリエ変換の導出についての説明を行います。

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ステップ関数のフーリエ変換の導出

まず、こちらで説明したようにステップ関数 $u(t)$ は以下のように表せました。

$$
u(t)=
\left\{
\begin{split}
& 0\quad(t<0) \EE
& 1\quad(0<t)
\end{split}
\right.
$$

単位ステップ関数の模式図

これをフーリエ変換の定義式に適用すると、

\begin{split}
\F[u(t)]&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}u(t)e^{-iwt}\diff t \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{0}^{\infty}e^{-iwt}\diff t
\end{split}

と、ステップ関数のフーリエ変換を表せます。この積分は複素積分となりますが、通常の積分と同様に計算できて、以下のようになります。

\begin{split}
\F[u(t)]&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{0}^{\infty}e^{-iwt}\diff t \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\left[ -\ff{1}{iw}e^{-iwt} \right]_0^{\infty} \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\ff{1}{iw}
\end{split}

このようにして、冒頭で示したステップ関数のフーリエ変換が得られます。

次に、ステップ関数を $a$ だけ平行移動させた $u(t-a)$ のフーリエ変換を考えます。これは、フーリエ変換の移動法則を用いて以下のようにできます。

\begin{split}
&\F[u(t-a)]=e^{-iaw}\F[u(t)]=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\ff{e^{-iaw}}{iw}
\end{split}

以上にして、ステップ関数のフーリエ変換が導けました。なお、この結果はステップ関数をラプラス変換した結果とほぼ同じ結果となっています。

デルタ関数のフーリエ変換の導出

次に、デルタ関数フーリエ変換を導いていきます。

さて、こちらで説明したように、デルタ関数 $\delta(t)$ は以下のように定義される関数です。

$$
(1)\quad \delta(t)=
\left\{
\begin{split}
&+\infty\quad (t=0) \EE
&0\quad (t\neq 0)
\end{split}
\right.
$$

\begin{split}
&(2)\quad \int_{-\infty}^{\infty}\delta(t)\diff t=1\quad\qquad\,\,
\end{split}

ディラック関数

これをフーリエ変換の定義式に適用すると、

\begin{split}
\F[\delta(t)]&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}\delta(t)e^{-iwt}\diff t
\end{split}

となります。

一見、上式の積分は不可能なように思えますが、デルタ関数の性質を考えることで計算が可能になります。

今、上の積分は $a=0$ とした場合に相当するため、以下の様に計算できます。

\begin{split}
\F[\delta(t)]&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}\delta(t)e^{-iwt}\diff t \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-iw\cdot 0}=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}
\end{split}

最後、デルタ関数を $a$ だけ平行移動させた場合のフーリエ変換 $\F[\delta(t-a)]$ は移動法則より以下のように計算できます。

\begin{split}
\F[\delta(t-a)]&=e^{-iaw}\F[\delta(t)]=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-iaw}
\end{split}

以上にして、デルタ関数のフーリエ変換が導けました。なお、この結果はデルタ関数をラプラス変換した結果とほとんど同じとなっています。

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