ガウス分布のフーリエ変換の導出|フーリエ変換の具体例と応用③

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今回は、ガウス分布(=正規分布)のフーリエ変換を導きます。

ガウス分布のフーリエ換

ガウス分布 $e^{-at^2}$ のフーリエ変換は次の様に表せる。

\begin{split}
\F[e^{-at^2}]&=\ff{1}{\sqrt{2 a}}e^{-\ff{w^2}{4a}}
\end{split}

ただし、$a$ を実数定数とする。

今回はこれの導出過程について説明します。早速、ガウス分布フーリエ変換の導出過程を以下に示します。

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ガウス分布のフーリエ変換の導出

始めに、こちらで説明したようにガウス分布 $f(t)$ は以下のように表せました。($a$ は実数定数)

$$
f(t)=e^{-at^2}
$$

上式の表すグラフは図のような釣り鐘型の形となります。

ガウス分布の模式図

これをフーリエ変換の定義式に適用すると、

\begin{split}
\F[e^{-at^2}]&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-at^2}e^{-iwt}\diff t \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-(at^2+iwt)}\diff t
\end{split}

と、ガウス分布のフーリエ変換を表せます。指数に複素数が含まれているため、上の積分は複素積分となりますが、通常の積分と同様に計算できます。

まずは、上式の被積分関数の $e$ の指数部分に $t$ の二次式であることに注目しましょう。

これに留意すると、$\DL{\int_0^{\infty}e^{-x^2}\diff x=\ff{\sqrt{\pi}}{2} }$ に帰着することをゴールとすれば良いということが分かります。(※導出方法についてはこちらで説明しています。)

この方針に沿って、まずは指数の中を変形することを考えます。具体的には平方完成によって次の様な変形を行います。

\begin{split}
at^2+iwt&=a\left(t^2+\ff{iw}{a}t \right) \EE
&=a\left\{ \left(t+\ff{iw}{2a} \right)^2-\left( \ff{iw}{2a} \right)^2 \right\} \EE
&=a\left(t+\ff{iw}{2a} \right)^2+\ff{w^2}{4a}
\end{split}

これを元の変換の式に戻すと、

\begin{split}
\F[e^{-at^2}]&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-at^2}e^{-iwt}\diff t \EE
&=\ff{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-a\left(t+\ff{iw}{2a} \right)^2-\ff{w^2}{4a}}\diff t \EE
&=\ff{e^{-\ff{w^2}{4a}}}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-a\left(t+\ff{iw}{2a} \right)^2}\diff t
\end{split}

とできます。次のステップとして、$y=\DL{\sqrt{a}\left( t+\ff{iw}{2a} \right)}$ と置換して、

\begin{split}
\F[e^{-at^2}]&=\ff{e^{-\ff{w^2}{4a}}}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}e^{-y^2}\ff{\diff y}{\sqrt{a}}\EE
&=\ff{2e^{-\ff{w^2}{4a}}}{\sqrt{2\pi a}}\int_{0}^{\infty}e^{-y^2}\diff y
\end{split}

とできます。今、$\DL{\int_0^{\infty}e^{-y^2}\diff y=\ff{\sqrt{\pi}}{2} }$ であることを考慮すると、

\begin{split}
\F[e^{-at^2}]&=\ff{1}{\sqrt{2 a}}e^{-\ff{w^2}{4a}}
\end{split}

が得られます。このようにして、冒頭で示したガウス関数のフーリエ変換が得られます。

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