累乗のフーリエ変換の導出|フーリエ変換の具体例と応用④

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今回は累乗のフーリエ変換を導きます。

累乗のフーリエ換

累乗 $t^n$ のフーリエ変換は次の様に表せる。

\begin{split}
\F[t^n]&=\sqrt{2\pi}\,i^n\cdot \delta^{(n)}(w)
\end{split}

ただし、$i$ を虚数単位、$n$ を自然数、$\delta(x)$ をデルタ関数とする。

今回はこれの導出過程について説明します。まずは、一次関数 $f(t)=t$ のフーリエ変換の導出過程について説明します。

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一次関数のフーリエ変換の導出

まずは、一次関数 $f(t)=t$ のフーリエ変換 $\F[t]$ を導きます。わざとらしくなりますが、これを次のようにしてみます。

\begin{split}
\F[t]&=\F[t\cdot 1] \EE
&=\sqrt{2\pi}\F\left[t\cdot \ff{1}{\sqrt{2\pi}} \right]
\end{split}

そして、上式にフーリエ変換の微分法則 $\DL{\left(\F[tf(t)]=i\ff{\diff}{\diff w}F(w)\right)}$ を適用することで、次の様にできます。

\begin{split}
\sqrt{2\pi}\F\left[t\cdot \ff{1}{\sqrt{2\pi}} \right]=i\sqrt{2\pi}\ff{\diff }{\diff w}\F\left[\ff{1}{\sqrt{2\pi}} \right]
\end{split}

今、$\DL{\F\left[\ff{1}{\sqrt{2\pi}} \right]=\delta(w)}$ となるので、(→定数関数のフーリエ変換

\begin{split}
i\sqrt{2\pi}\ff{\diff }{\diff w}\F\left[\ff{1}{\sqrt{2\pi}} \right]=i\sqrt{2\pi}\ff{\diff }{\diff w}\delta(w)=i\sqrt{2\pi}\cdot\delta'(w)
\end{split}

が得られます。

累乗のフーリエ変換の導出

次に今回の本題である、一般の累乗の関数 $f(t)=t^n$ のフーリエ変換の導出方法について説明します。

傾向を知るため、手始めに $t^2$ と $t^3$ のフーリエ変換を考えてみます。まず、$t^2$ のフーリエ変換については、

\begin{split}
\F[t^2]&=\F[t\cdot t]
\end{split}

とできることに注目します。これにフーリエ変換の微分法則を用いることで、

\begin{split}
\F\left[t\cdot t \right]&=i\ff{\diff }{\diff w}\F\left[t \right] \EE
&=i\ff{\diff }{\diff w}\Big(i\sqrt{2\pi}\cdot\delta'(w) \Big) \EE
&=-\sqrt{2\pi}\cdot\delta^{(2)}(w)
\end{split}

とできます。次に、$t^3$ のフーリエ変換についても同様にして、

\begin{split}
\F[t^3]&=\F[t\cdot t^2] \EE
&=i\ff{\diff }{\diff w}\F\left[t^2 \right] \EE
&=i\ff{\diff }{\diff w}\Big( -\sqrt{2\pi}\cdot\delta^{(2)}(w) \Big) \EE
&=-\sqrt{2\pi}i\cdot\delta^{(3)}(w)
\end{split}

となります。この計算を次々と適用することで、一般の累乗 $t^n$ のフーリエ変換が以下のようになることが分かります。

\begin{split}
\F[t^n]&=\sqrt{2\pi}\,i^n\cdot \delta^{(n)}(w)
\end{split}

以上にして、冒頭の累乗の関数 $f(t)=t^n$ のフーリエ変換が導けました。

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