指数関数と三角関数のラプラス変換の導出|ラプラス変換の具体例と応用③

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今回は指数関数と三角関数ラプラス変換の導出過程について説明します。まず、指数関数のラプラス変換の結果は次の様になります。

指数関数のラプラス変換

$a$ を実数として指数関数 $e^{at}$ のラプラス変換 $\L[e^{at}]$ は次の様に表せる。

\begin{split}
&\L[e^{at}]=\ff{1}{s-a}\quad (s-a>0)
\end{split}

なお、$i$ を虚数単位として複素指数関数 $e^{iat}$ のラプラス変換 $\L[e^{iat}]$ は次の様になる。

\begin{split}
&\L[e^{iat}]=&=\ff{1}{s-ia}= \ff{s}{s^2+a^2}+i\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}

そして、三角関数ラプラス変換の結果は次の様になります。

三角関数のラプラス変換

$a$ を実数として三角関数 $\cos at,\sin at$ のラプラス変換 $\L[\cos at],\L[\sin at]$ は次の様に表せる。

$$
\left\{
\begin{split}
&\L[\cos at]=\ff{s}{s^2+a^2} \EE
&\L[\sin at]=\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}
\right.
$$

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指数関数のラプラス変換の導出

始めに、指数関数 $e^{at}$ のラプラス変換を行います。これは、ラプラス変換の定義より以下の様に計算できます。

\begin{split}
\L[e^{at}]&=\int_0^{\infty}e^{at}e^{-st}\diff t \EE
&=\int_0^{\infty}e^{(a-s)t}\diff t \EE
&=\left[ \ff{1}{a-s}e^{(a-s)t} \right]_0^{\infty}
\end{split}

ここで、ラプラス変換の収束条件より $a<s$ とならなければなりません。この条件を課すと、

\begin{split}
\L[e^{at}]=\ff{1}{s-a}
\end{split}

と求められます。

複素指数関数のラプラス変換

少し飛躍しますが、指数を複素数とした複素指数関数のラプラス変換について考えてみましょう。

今、$a$ を実数、$i$ を虚数単位として、$e^{iat}$ のラプラス変換について計算します。具体的には次の様にできて、

\begin{split}
\L[e^{iat}]&=\int_0^{\infty}e^{iat}e^{-st}\diff t \EE
&=\int_0^{\infty}e^{(ia-s)t}\diff t \EE
\end{split}

このような積分を専門用語では複素線積分と呼びます。とは言え、計算自体は実数関数の積分と同様に実行できて、

\begin{split}
\int_0^{\infty}e^{(ia-s)t}\diff t &= \left[\ff{1}{ia-s}e^{(ia-s)t}\right]_0^{\infty}
\end{split}

となります。この積分結果はラプラス変換の存在条件より $Re(s)>0$ にて収束すると言えるので、

\begin{split}
\L[e^{iat}]&=\ff{1}{s-ia}
\end{split}

となります。これを整理すると、

\begin{split}
\L[e^{iat}]&=\ff{1}{s-ia}=\ff{s+ia}{(s-ia)(s+ia)} \EE
&= \ff{s}{s^2+a^2}+i\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}

とも表せます。この結果は、次節にて三角関数ラプラス変換を求める際に利用します。

三角関数のラプラス変換の導出

それでは、三角関数ラプラス変換を考えていきます。今回はオイラーの公式を利用して求めていきます。

さて、オイラーの公式とは複素指数関数と三角関数を結ぶ重要な公式で、具体的には $a$ を実数、$i$ を虚数単位として次の様に表せます。

\begin{split}
e^{iat}=\cos at+i\sin at
\end{split}

したがって、以下の等式が成立すると言え、

\begin{split}
\L[e^{iat}]=\L[\cos at+i\sin at]
\end{split}

左辺のラプラス変換の結果については、先程の計算結果より、

\begin{split}
\L[e^{iat}]=\ff{s}{s^2+a^2}+i\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}

と言えます。問題は右辺の計算ですが、これはラプラス変換の線形法則より以下の様にできると言えます。

\begin{split}
\L[\cos at+i\sin at]=\L[\cos at]+i\L[\sin at]
\end{split}

以上より次の等式が成立し、

\begin{split}
\L[e^{iat}]&=\L[\cos at]+i\L[\sin at]\EE
&=\ff{s}{s^2+a^2}+i\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}

これの実部虚部を比較すると、

$$
\left\{
\begin{split}
&\L[\cos at]=\ff{s}{s^2+a^2} \EE
&\L[\sin at]=\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}
\right.
$$

が得られます。これは冒頭に示した三角関数のラプラス変換の結果と一致します。

三角関数のラプラス変換

$a$ を実数として、$\sin at,\cos at$ のラプラス変換は次の様に表せる。

$$
\left\{
\begin{split}
&\L[\cos at]=\ff{s}{s^2+a^2} \EE
&\L[\sin at]=\ff{a}{s^2+a^2}
\end{split}
\right.
$$

 

なお、$\tan at$ のような正接関数は発散するため、正接関数のラプラス変換は存在しません。

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