ラプラス変換による単振動の解法|ラプラス変換による微分方程式の解法①

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今回より、ラプラス変換ラプラス逆変換を組み合わせて微分方程式を解く方法について説明します。

この方法は図のような手順で行う解法となります。すなわち、微分方程式をラプラス変換して代数方程式の形に変形し、この代数方程式から求めたい解を得て、最後にこれをラプラス逆変換して、元の微分方程式の解を得る手法となります。

ラプラス変換による微分方程式の解法の模式図

この解法は、様々な微分方程式を同じ手順で機械的に解けるという利点があります。

今回は、単振動の運動を表す微分方程式をラプラス変換により解く方法について説明します。復習を兼ねてまずは、単振動の運動方程式の説明を行います。

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単振動の微分方程式のラプラス変換

今回は、単振動と呼ばれる減衰や強制振動も無いばねの運動について考えます。

ばねの振動

このとき、単振動運動方程式(=微分方程式)は以下のように表せます。なお、時刻 $t$ での質点の位置を $x(t)$、ばね定数を $k$、質点の質量を $m$ とします。

\begin{eqnarray}
m\ff{\diff^2 x(t)}{\diff t^2} &=& -kx(t)\tag{1}
\end{eqnarray}

こちらで説明したように、この微分方程式は特性方程式を用いても解けますが、ここではラプラス変換を用いた解法について説明します。

早速、式 $(1)$ をラプラス変換してみましょう。初手として両辺に $\L$ を作用させます。すると、

\begin{split}
\L\left[ m\ff{\diff^2 x(t)}{\diff t^2}\right] &= \L\Big[-kx(t)\Big]\
\end{split}

とできます。これにラプラス変換の線形法則を適用すると、

\begin{eqnarray}
m\,\L\left[ \ff{\diff^2 x(t)}{\diff t^2}\right] &= -k\,\L\Big[x(t)\Big]\ \tag{2}
\end{eqnarray}

と係数を外に出すことができます。

事前の準備が整ったので、次節よりラプラス変換ラプラス逆変換を用いて微分方程式を解いて行きます。

ラプラス変換による単振動の解法

本題のラプラス変換ラプラス逆変換による微分方程式の解法について説明します。

まず、$\L[x(t)]=X(s)$ とします。そして式 $(2)$ にラプラス変換の微分法則を適用すると、

\begin{split}
m\left(s^2X(s)-s\,x(0)-\dot{x}(0) \right) &= -kX(s)
\end{split}

とできます。今、初期条件として $x(0)=A,\,\dot{x}(0)=0$ を与えます。すると、

\begin{split}
X(s)=\ff{mA s}{ms^2+k}
\end{split}

と整理できます。これにラプラス逆変換 $\L^{-1}[X(s)]$ を実行すると、求めたい $x(t)$ が得られます。

これを得るため、次のような変形を行います。

\begin{split}
X(s)=A\ff{s}{s^2+\ff{k}{m}}
\end{split}

$\L^{-1}[X(s)]$ の計算についてはラプラス逆変換表を参照すれば良く、

\begin{split}
\L^{-1}[X(s)]&=\L^{-1}\left[A\ff{s}{s^2+\ff{k}{m}}\right]\EE
\therefore\,x(t)&=A\cos\left(\sqrt{\ff{k}{m}}t \right)
\end{split}

となって答えが得られます。この結果は、特性方程式による解法から得られた解と確かに一致しています。

ラプラス変換による微分方程式の解法の概要

今回のまとめを兼ねて、ラプラス変換を用いた微分方程式の解法について、その概要を説明しておきます。結論を示すと、ラプラス変換により解法を図示すると下図のようになります。

ラプラス変換による微分方程式の解法の模式図

上図が示す内容について説明します。

初手として、$t$ 領域にある解きたい微分方程式をラプラス変換します。この様子は $t$ 領域から $s$ 領域に変換することに相当します。

例えば $t$ 領域に $y^{”}(t)+ay'(t)+by=f(t)$ という微分方程式があったとして、これをラプラス変換した結果、$s$ 領域にて $P(s)Y(s)-Q(s)=F(s)$ となったとします。

次に、変換後の式を $Y(s)$ について代数的に解きます。今回の例では、$\DL{Y(s)=\ff{F(s)}{P(s)}+\ff{Q(s)}{P(s)}}$ の形に整理することに相当します。最後に、$Y(s)$ をラプラス逆変換して元の微分方程式の解、$y(t)$ が得られます。

以上がラプラス変換による微分方程式の解法の概要になります。

ラプラス変換による解法は、特性方程式を解いて真正面から解く従来の方法と比べて機械的な手続きで解が得られるという点で優れています。

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