ベータ関数とは?|ベータ関数の性質と定積分への応用

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今回は、ガンマ関数ベッセル関数などの特殊関数の一種である、ベータ関数の性質とその応用について説明します。

さて、ベータ関数は次のように定義される関数で、下記のような性質を持ちます。

ベータ関数の定義と性質

$m,n>0$ として、ベータ関数 $B(m,n)$ を次のように定義する。

\begin{split}
B(m,n)=\int_0^{1}x^{m-1}(1-x)^{n-1}\diff x
\end{split}

なお、ベータ関数は以下に示す性質を持つ。ただし、$\Gamma(x)$ をガンマ関数とする。

\begin{split}
&(1)\quad B(m,n)=B(n,m) \EE
&(2)\quad B(m,n)=2\int_0^{\ff{\pi}{2}}\sin^{2m-1}\q\cos^{2n-1}\q\diff \q \EE
&(3)\quad B(m,n)=\ff{\Gamma(m)\Gamma(n)}{\Gamma(m+n)}
\end{split}

まずは、ベータ関数が上のような性質を持つことを示していきます。

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ベータ関数の性質とその証明

冒頭で示したように、ベータ関数は次のように定義される特殊関数のことです。

ベータ関数とは?

$m,n>0$ として、ベータ関数 $B(m,n)$ を次のように定義する。

\begin{split}
B(m,n)=\int_0^{1}x^{m-1}(1-x)^{n-1}\diff x \\
\,
\end{split}

さらに、ベータ関数は次のような性質を持ちます。

ベータ関数の定義と性質

ベータ関数は以下に示す性質を持つ。ただし、$\Gamma(x)$ をガンマ関数とする。

\begin{split}
&(1)\quad B(m,n)=B(n,m) \EE
&(2)\quad B(m,n)=2\int_0^{\ff{\pi}{2}}\sin^{2m-1}\q\cos^{2n-1}\q\diff \q \EE
&(3)\quad B(m,n)=\ff{\Gamma(m)\Gamma(n)}{\Gamma(m+n)}
\end{split}

これらの証明を以下に示します。まず、性質$(1)$ の証明を行います。

ベータ関数の性質の証明

性質$(1)$ の証明

ベータ関数の定義から、

\begin{split}
B(m,n)=\int_0^{1}x^{m-1}(1-x)^{n-1}\diff x
\end{split}

ここで、$1-x=t$ と置換すると、その右辺は

\begin{split}
\int_0^{1}x^{m-1}(1-x)^{n-1}\diff x&=\int_1^{0}(1-t)^{m-1}t^{n-1}(-\diff t) \EE
&=\int_0^{1}(1-t)^{m-1}t^{n-1}\diff t\EE
&=\int_0^{1}t^{n-1}(1-t)^{m-1}\diff t\EE
&=B(n,m)
\end{split}

となります。これより、$B(m,n)=B(n,m)$ が示せました。次に、性質$(2)$の証明を行います。

性質$(2)$ の証明

ベータ関数の変数を $x=\sin^2\q$ と置換すると、

\begin{split}
&\int_0^{1}x^{m-1}(1-x)^{n-1}\diff x\EE
=&\int_0^{\ff{\pi}{2}}(\sin^2\q)^{m-1}(1-\sin^2\q)^{n-1}(2\cos\q \sin\q\diff \q) \EE
=&2\int_0^{\ff{\pi}{2}}\sin^{2m-1}\q\cos^{2m-1}\q\diff \q
\end{split}

これより、$\DL{B(m,n)=2\int_0^{\ff{\pi}{2}}\sin^{2m-1}\q\cos^{2n-1}\q\diff \q}$ が示されました。最後に性質$(3)$の証明を行います。

性質$(3)$ の証明

まず、ガンマ関数の変数を $t=x^2$ として置換します。

\begin{split}
\Gamma(s)=&\int_0^{\infty} t^{s-1}e^{-s} \diff t=\int_0^{\infty} (x^2)^{s-1}e^{-x^2} (2x\diff x) =2\int_0^{\infty} x^{2s-1}e^{-x^2} \diff x
\end{split}

これより、$\Gamma(m)=\DL{2\int_0^{\infty} x^{2m-1}e^{-x^2} \diff x},$ $\Gamma(n)=\DL{2\int_0^{\infty} y^{2n-1}e^{-y^2} \diff y}$ と表せます。次に $\Gamma(m)\Gamma(n)$ の積を計算します。

\begin{split}
\Gamma(m)\Gamma(n)=&4 \int_0^{\infty}\int_0^{\infty} x^{2m-1}y^{2n-1} e^{-x^2-y^2} \diff x\diff
\end{split}

ここで、ガウス積分の計算と同様の置換を行います。すなわち、$x=r\cos\q,y=r\sin\q$ と置換すると、

\begin{split}
&4 \int_0^{\ff{\pi}{2}}\int_0^{\infty} (r\cos\q)^{2m-1}(r\sin\q)^{2n-1} e^{-r^2} (r\diff r\diff \q) \EE
=& \left(2\int_0^{\ff{\pi}{2}}\sin^{2m-1}\q\cos^{2n-1}\q\diff \q \right)\left(2\int_0^{\infty}r^{2(m+n)-1}e^{-r^2}\diff r \right)
\end{split}

左側については性質 $(2)$ から、$B(m,n)$ となります。右側の括弧については、$r^2=t$ と置換すると、

\begin{split}
2\int_0^{\infty}r^{2(m+n)-1}e^{-r^2}\diff r=&2\int_0^{\infty}t^{m+n}\cdot\ff{1}{r}e^{-t}\left( \ff{1}{2r} \diff t\right) \EE
=&\int_0^{\infty}t^{m+n-1}e^{-t}\diff t=\Gamma(m+n)
\end{split}

となり、ガンマ関数と一致することが言えます。これらをまとめると、

\begin{split}
\Gamma(m)\Gamma(n)=B(m,n)\Gamma(m+n)
\end{split}

が導け、以上より、$\DL{B(m,n)=\ff{\Gamma(m)\Gamma(n)}{\Gamma(m+n)} }$ となることが示されました。

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ベータ関数による積分計算

それでは、ベータ関数を活用して積分計算を実施してみましょう。

例題 $1$$\DL{\int_0^1\ff{x}{\sqrt{1-x}}\diff x}$ を求めよ。

この積分は、ベータ関数の緒性質を適用することで次のように計算できます。

\begin{split}
\int_0^1\ff{x}{\sqrt{1-x}}\diff x&=\int_0^1x(1-x)^{\ff{1}{2}-1}\diff x \EE
&=B\left(2,\ff{1}{2}\right)=\ff{\Gamma(2)\Gamma\left(\ff{1}{2}\right)}{\Gamma\left(2+\ff{1}{2}\right)} \EE
&=\ff{1!\cdot \Gamma\left(\ff{1}{2}\right)}{\ff{3}{2}\ff{1}{2}\Gamma\left(\ff{1}{2}\right)} \EE
&= \ff{4}{3}
\end{split}

例題 $2$$\DL{\int_0^\ff{\pi}{2}\sin^5\q\,\diff \q}$ を求めよ。

この積分も、ベータ関数の緒性質を適用することで次のように計算できます。

\begin{split}
\int_0^\ff{\pi}{2}\sin^5\q\,\diff \q&=\ff{1}{2}\left(2 \int_0^\ff{\pi}{2} \sin^{2\cdot 3-1}\q\cos^{2\cdot \ff{1}{2}-1}\q\diff \q \right) \EE
&=\ff{1}{2}B\left(3,\ff{1}{2}\right) =\ff{1}{2}\ff{\Gamma(3)\Gamma\left(\ff{1}{2}\right)}{\Gamma\left(3+\ff{1}{2}\right)} \EE
&=\ff{1}{2}\ff{2!\cdot \Gamma\left(\ff{1}{2}\right)}{\ff{5}{2}\cdot\ff{3}{2}\cdot\ff{1}{2}\cdot\Gamma\left(\ff{1}{2}\right)} \EE
&=\ff{8}{15}
\end{split}

例題 $3$$\DL{\int_0^{\infty}\ff{x^m}{(1+x^2)^n}\diff x},$ $m,n>0, 2n-1>m$ をガンマ関数により表せ。

始めに、$x=\tan\q$ と置換すると、

\begin{split}
\int_0^{\infty}\ff{x^m}{(1+x^2)^n}\diff x&=\int_0^{\ff{\pi}{2}}\sin^m\q\cos^{2n-m-2}\q\diff \q
\end{split}

と出来て、これをベータ関数の性質$(2)$と比較すると、

\begin{split}
\int_0^{\infty}\ff{x^m}{(1+x^2)^n}\diff x
&=\ff{1}{2}B\left( \ff{m+1}{2},\ff{2n-m-1}{2} \right)
\end{split}

となることが分かります。これに性質 $(3)$ を適用すると、

\begin{split}
\ff{1}{2}B\left( \ff{m+1}{2},\ff{2n-m-1}{2} \right)=\ff{1}{2}\ff{\Gamma\left( \ff{m+1}{2}\right)\Gamma\left(\ff{2n-m-1}{2}\right)}{\Gamma\left(n\right)}
\end{split}

が得られます。

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