特殊関数の一つである、ガンマ関数について解説します。
ガンマ関数は、階乗を一般化した関数と見なせます。
関連して、スターリングの公式やウォリスの公式についても解説します。
まずは、階乗について復習しましょう。
$n$を自然数として、$n$の階乗$n!$は次のように定義されます。
階乗には、次のような性質がありました。
階乗を正の実数全体($x > 0$)に拡張したものをガンマ関数と呼びます。
ガンマ関数と、階乗の近似式であるスターリングの公式は次のように表せます。
ガンマ関数とは?
天下り的になりますが、ガンマ関数$\Gamma(x)$とは次のように定義される関数です。
ガンマ関数の性質を見ていきましょう。
証明
性質1
\begin{eqnarray}
\Gamma (1) &=& \int_0^{\infty} e^{-t} \diff t \EE
&=& \big[ -e^{-t} \big]_0^{\infty} = 0 \,-\, (-1) \EE
&=& 1
\end{eqnarray}
性質2
部分積分を利用して$\Gamma (n+1) = n\Gamma (n)$を示します。
\begin{eqnarray}
\Gamma (n+1) &=& \int_0^{\infty} t^{n}e^{-t} \diff t \EE
&=& \big[ t^{n}(-e^{-t}) \big]_0^{\infty} + n\int_0^{\infty} t^{n-1}e^{-t} \EE
&=& n\int_0^{\infty} t^{n-1}e^{-t} \EE
\therefore \, \Gamma (n+1) &=& n\Gamma (n)
\end{eqnarray}
これを繰り返し用いると、
\begin{eqnarray}
\Gamma (n+1) &=& n\Gamma (n) = n(n-1)\Gamma (n-1) \EE
&=& n(n-1)(n-2)\cdots\Gamma(1) \EE
&=& n(n-1)(n-2)\cdots1 \EE
\therefore \, \Gamma (n+1) &=& n!
\end{eqnarray}
であることが示せました。
性質3
$\Gamma (x+1) = x\Gamma (x)$も同様に部分積分を利用して示せます。
\begin{eqnarray}
\Gamma (x+1) &=& \int_0^{\infty} t^{x}e^{-t} \diff t \EE
&=& \big[ t^{x}(-e^{-t}) \big]_0^{\infty} + x\int_0^{\infty} t^{x-1}e^{-t} \EE
&=& x\int_0^{\infty} t^{x-1}e^{-t} \EE
\therefore \, \Gamma (x+1) &=& x\Gamma (x)
\end{eqnarray}
これらの性質からガンマ関数は、階乗の拡張になっていることが分かります。
ガンマ関数の無限乗積表示
ガンマ関数を積分の形でなく、積の形で表現することを考えましょう。
次のような関係式をガンマ関数の無限乗積表示と呼びます。
【証明と導出過程】
まず、自然対数の底(ネイピア数)$e$は次のように表せました。
\begin{eqnarray}
e &=& \lim_{h \to 0}(1+h)^{\ff{1}{h}}
\end{eqnarray}
ここで、$h = \displaystyle{-\ff{1}{n}}$として代入すると、
\begin{eqnarray}
e &=& \lim_{n \to \infty}\left(1-\ff{1}{n}\right)^{-n}
\end{eqnarray}
となります。
さて、以下の極限について考えましょう。
\begin{eqnarray}
\lim_{n \to \infty}\left(1-\ff{t}{n}\right)^{n} &=& \lim_{n \to \infty}\left\{ \left(1-\ff{t}{n}\right)^{-\ff{n}{t}} \right\}^{-t} \EE
&=& \left\{ \lim_{n \to \infty} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{-\ff{n}{t}} \right\}^{-t} \EE
&=& e^{-t}
\end{eqnarray}
このようになり、$e^{-t}$となります。
これをガンマ関数に適用すると、
\begin{eqnarray}
\Gamma (x) &=& \int_0^{\infty} t^{x-1}e^{-t} \diff t \EE
&=& \int_0^{\infty} t^{x-1}\lim_{n \to \infty}\left\{ \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n} \right\} \diff t \EE
&=& \lim_{n \to \infty} \int_0^{n} t^{x-1} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n} \diff t \tag{4} \EE
\end{eqnarray}
となります。
ここで、$\Gamma_{n} (x)$を次のように定義しましょう。
\begin{eqnarray}
\Gamma_n (x) \equiv \int_0^{n} t^{x-1} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n} \diff t \EE
\end{eqnarray}
繰り返し部分積分を用いて、変形をしていくと、
\begin{eqnarray}
\Gamma_n (x) &=& \int_0^{n} t^{x-1} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n} \diff t \EE
&=& \left[ \ff{t^{x}}{x} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n} \, \right]_0^n + \int_0^{n} \ff{t^{x}}{x} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n-1} \diff t \EE
&=& \int_0^{n} \ff{t^{x}}{x} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n-1} \diff t \EE
&=& \left[ \ff{t^{x+1}}{x(x+1)} \left(1-\ff{t}{n}\right)^{n-1} \, \right]_0^n + \int_0^{n} \ff{t^{x+1}}{x(x+1)} \ff{n-1}{n}\left(1-\ff{t}{n}\right)^{n-2} \diff t \EE
&=& \cdots \EE
&=& \ff{(n-1)(n-2)\cdots 2\cdot 1}{n^{n-1}\,x(x+1)\cdots (x+n-1)}\int_0^{n} t^{x+n-1} \diff t \EE
&=& \ff{(n-1)(n-2)\cdots 2\cdot 1}{n^{n-1}\,x(x+1)\cdots (x+n-1)}\cdot\ff{n^{x+n}}{x+n} \EE
&=& \ff{(n-1)(n-2)\cdots 2\cdot 1}{x(x+1)\cdots (x+n-1)}\cdot\ff{n^{x+1}}{x+n} \EE
&=& \ff{n! \,n^x}{x(x+1)\cdots (x+n)}
\end{eqnarray}
となります。
$\Gamma_{n} (x)$の極限を考えると、式(4)は次のようになります。
この公式をガウスの公式と呼びます。
ガウスの公式を利用し、ガンマ関数の無限乗積表示を求めましょう。
まず、ガウスの公式に$1-x$を代入すると、
\begin{eqnarray}
\Gamma (1-x) &=& \lim_{n \to \infty} \ff{n! \,n^{1-x}}{(1-x)(2-x)\cdots (n+1-x)} \EE
\end{eqnarray}
となります。
$\Gamma(x)\Gamma(1-x)$を考えると、
\begin{eqnarray}
\Gamma(x)\Gamma (1-x) &=& \lim_{n \to \infty} \ff{n}{x(n+1-x)} \cdot\ff{(n!)^2 }{(1-x^2)(2^2-x^2)\cdots (n^2-x^2)} \EE
&=& \lim_{n \to \infty} \ff{1}{x\left(1+\ff{1-x}{n}\right)} \cdot \ff{1}{\big(1-x^2\big)\left(1-\ff{x^2}{2^2}\right)\cdots \left(1-\ff{x^2}{n^2}\right)} \EE
\therefore \, \Gamma(x)\Gamma (1-x) &=& \ff{1}{x\displaystyle{\prod_{n=1}^{\infty}\left( 1-\ff{x^2}{n^2} \right)}} \qquad (0<x<1)
\end{eqnarray}
と、ガンマ関数の無限乗積表示が得られました。
オイラーの公式
(ガンマ関数の)オイラーの公式を導きます。
まず、$n^x$を次のように変形します。すると、
\begin{eqnarray}
n^x &=& \left( \ff{2}{1}\cdot\ff{3}{2}\cdot\ff{4}{3}\cdots \ff{n-1}{n-2}\ff{n}{n-1} \right)^x \EE
&=& \left( 1+\ff{1}{1}\right)^x\left( 1+\ff{1}{2}\right)^x\left( 1+\ff{1}{3}\right)^x\cdots\left( 1+\ff{1}{n-1}\right)^x \EE
\therefore \, n^x &=& \prod_{s=1}^{n-1}\left( 1+\ff{1}{s}\right)^x
\end{eqnarray}
となります。
また、
\begin{eqnarray}
\ff{n! }{(x+1)(x+2)\cdots (x+n)} &=& \ff{1 }{\left(1+\ff{x}{1}\right)\left(1+\ff{x}{2}\right)\cdots \left(1+\ff{x}{n}\right)} \EE
&=& \prod_{s=1}^{n-1}\left( 1+\ff{x}{s}\right)^{-1}
\end{eqnarray}
となります。
これらをガウスの公式に代入すると、次のオイラーの公式が導けます。
ワイエルシュトラスの公式
オイラーの公式を利用して、ワイエルシュトラスの公式を導出します。
オイラーの公式を少し変形して、以下のようにします。
\begin{eqnarray}
\Gamma (x) &=& \lim_{n\to \infty}\ff{n^x}{x} \prod_{s=1}^{n} \bigg( 1+\ff{x}{s}\bigg)^{-1} \EE
\end{eqnarray}
さらに、$n^{-x} = e^{-x\, \ln n}$であることを利用すると、
\begin{eqnarray}
\ff{1}{\Gamma (x)} &=& x\lim_{n\to \infty} e^{-x \ln n} \prod_{s=1}^{n} \bigg( 1+\ff{x}{s}\bigg) \EE
\end{eqnarray}
とできます。
さて、オイラー定数$\gamma$を以下のように定義します。
オイラー定数は、$0.5772154\cdots$と続く数字です。
先程の式の右辺に、
\begin{eqnarray}
1 = e^{x\left( 1+\ff{1}{2} + \cdots + \ff{1}{n} \right)}\prod_{s=1}^n e^{-\ff{x}{s}}\\
\end{eqnarray}
を掛けると、
\begin{eqnarray}
\ff{1}{\Gamma (x)} &=& x\lim_{n\to \infty} e^{x\left( 1+\ff{1}{2} + \cdots + \ff{1}{n} – \ln n \right) } \prod_{s=1}^{n} \bigg( 1+\ff{x}{s}\bigg)e^{-\ff{x}{s}} \EE
\end{eqnarray}
となります。
オイラー定数を利用すると、次のようにワイエルシュトラスの公式が導けます。
ガンマ関数の相反公式
ガンマ関数を三角関数で表現することを考えます。さて、次のような関係式をガンマ関数の相反公式と呼びます。
【証明と導出過程】
$f(x) = \cos cx$として、フーリエ展開を利用すると、次のような等式が成立します。
\begin{eqnarray}
\cos cx &=& a_0 + \sum_{n = 1}^{\infty}(a_n \cos nx + b_n \sin nx)
\end{eqnarray}
係数$a_0, a_n, b_n$は、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
a_0 &=& \ff{1}{2\pi} \int_{-\pi}^{\pi}\cos cx\, \diff x \EE
&=& \ff{\sin c\pi}{c\pi}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
a_n &=& \ff{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi}\cos cx \cos nx\, \diff x \EE
&=& \ff{1}{2\pi} \int_{-\pi}^{\pi}\big\{ \cos (c+n)x + \cos (c-n)x \big\}\, \diff x \EE
&=& \ff{2}{\pi}(-1)^n \ff{c\sin c\pi}{c^2 \,-\, n^2}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
b_n &=& \ff{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi}\cos cx \sin nx\, \diff x \EE
&=& \ff{1}{2\pi} \int_{-\pi}^{\pi}\big\{ \sin (c+n)x \,-\, \sin (c-n)x \big\}\, \diff x \EE
&=& \ff{1}{2\pi}\left[ -\ff{\cos (c+n)x}{c+n}+\ff{\cos (c-n)x}{c-n} \right]_{-\pi}^{\pi} \EE
&=& 0 \EE
\end{eqnarray}
したがって、
\begin{split}
\cos cx &= \ff{\sin c\pi}{c\pi} + \ff{2c\sin c\pi}{\pi} \sum_{n = 1}^{\infty}(-1)^n\ff{\cos nx}{c^2-n^2} \EE
&\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad (-\pi \le x \le \pi)
\end{split}
となります。$x=\pi$を代入すると、
\begin{split}
\cos c\pi &= \ff{\sin c\pi}{c\pi} + \ff{2c\sin c\pi}{\pi} \sum_{n = 1}^{\infty}\ff{1}{c^2-n^2} \EE
\pi \ff{\cos c\pi}{\sin c\pi}&= \ff{1}{c} \,- \sum_{n = 1}^{\infty}\ff{2c}{n^2-c^2} \EE
\end{split}
$c$を$x$に変えて、$0$から$x’$まで積分すると、
\begin{split}
\int_0^{x’} \left( \pi \ff{\cos \pi x}{\sin \pi x} \,- \ff{1}{x} \right) \diff x &= -\sum_{n = 1}^{\infty}\int_0^{x’}\ff{2x}{n^2-x^2}\diff x \EE
\Big[\ln \sin \pi x \,- \ln x \Big]_0^{x’} &= \Big[\ln (n^2 \,- x^2) \Big]_0^{x’} \EE
\left[ \ln \ff{\sin \pi x}{x} \right]_0^{x’} &= \sum_{n = 1}^{\infty} \ln \left( \ff{n^2 \,- x’^2}{n^2} \right)
\end{split}
となります。
左辺に関して、
\begin{eqnarray}
\lim_{x \to 0}\ff{\sin \pi x}{x} &=& \lim_{x \to 0}\ff{\sin \pi x}{\pi x}\pi \EE
&=& \pi
\end{eqnarray}
であることを意識すると、上式は、
\begin{split}
\left[ \ln \ff{\sin \pi x}{x} \right]_0^{x’} &= \sum_{n = 1}^{\infty} \ln \left( \ff{n^2 \,- x’^2}{n^2} \right) \EE
\ln \ff{\sin \pi x’}{x’} \,- \ln \pi &= \EE
\ln \ff{\sin \pi x’}{\pi x’} &= \ln \prod_{n=1}^{\infty} \left( \ff{n^2 \,- x’^2}{n^2} \right) \EE
\end{split}
となります。
したがって、
\begin{eqnarray}
\sin \pi x &= \pi x \prod_{n=1}^{\infty} \left( \ff{n^2 \,- x^2}{n^2} \right) \tag{5} \EE
\end{eqnarray}
となります。
この式を、ガンマ関数の無限積表示と比較すると、
ガンマ関数の相反公式が導けます。
相反公式に、$x=\displaystyle{\ff{1}{2}}$を代入すると、
となります。$\displaystyle{\Gamma\left( \ff{1}{2} \right)}=\sqrt{\pi}$となる事実は、ガウス積分を求める際に活用します。
ウォリスの公式
円周率$\pi$に関連して、有名な公式であるウォリスの公式を導出しましょう。
式(5)に$x=\displaystyle{\ff{1}{2}}$を代入すると、
\begin{eqnarray}
1 &= \ff{\pi}{2} \prod_{n=1}^{\infty} \ff{(2n)^2 \,- 1}{(2n)^2} \EE
\end{eqnarray}
となります。これから、
\begin{eqnarray}
\ff{\pi}{2} &=& \prod_{n=1}^{\infty} \ff{(2n)^2 }{(2n)^2\,- 1} \EE
&=& \prod_{n=1}^{\infty} \ff{2n }{2n\,- 1}\ff{2n }{2n+ 1} \EE
&=& \ff{2}{1}\ff{2}{3}\ff{4}{3}\ff{4}{5}\ff{6}{5}\ff{6}{7}\cdots \EE
&=& \left( \ff{2\cdot4\cdot6\cdots}{1\cdot3\cdot5\cdot7\cdots} \right)^2
\end{eqnarray}
となり、
これを変形すると、
\begin{eqnarray}
\ff{\pi}{2} &=& \lim_{n \to \infty}\left( \ff{2}{1}\ff{2}{3}\ff{4}{3}\cdots\ff{2n-2}{2n-3}\ff{2n-2}{2n-1}\ff{2n}{2n-1} \right) \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\left\{ \ff{2\cdot4\cdot6\cdots(2n-2)\cdot2n}{1\cdot3\cdot5\cdots(2n-1)} \right\}^2\ff{1}{2n} \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\left\{ \ff{2^n(1\cdot2\cdot3\cdots\cdot n)}{\ff{1\cdot2\cdot3\cdots(2n-1)\cdot 2n}{2\cdot4\cdots(2n-2)\cdot2n}} \right\}^2\ff{1}{2n} \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\left\{ \ff{2^n n!}{\ff{(2n)!}{2^n n!}} \right\}^2\ff{1}{2n} \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\left\{ \ff{2^{2n} ({n!})^2}{(2n)!\sqrt{2n}} \right\}^2 \EE
\end{eqnarray}
となります。
この式から、次のようにウォリスの公式が導出できます。
※ウォリスの公式には、これ以外にも様々なバージョンがあります。
スターリングの公式
$n!$の近似式を導くことを考えましょう。
$n!$の近似式をスターリングの公式と呼びます。($\sim$は「漸近する」という意味です)
※統計力学では、より簡潔な公式として、$n! \NEQ n^n e^{-n}$が使われます。
【証明と導出過程】
統計力学で重要な役割を果たします。
まずは、$\ln n!$を考えましょう。
対数の性質から、
\begin{eqnarray}
\ln n! &=& \ln 2 + \ln 3 + \cdots + \ln n
\end{eqnarray}
となります。
さて、これを積分と結び付けましょう。
$\ln x$の積分は、幅$1$、高さ$\ln a$の長方形の短冊の和と近似できるので、$\ln x$の積分を次のように記述できます。
\begin{split}
\int_{1}^{n} \ln x \diff x &= 1\times\ln 2 + 1\times\ln 3 + \cdots \\
&\qquad +\,1\times\ln (n-1) + \ff{1}{2}\times \ln n + \varepsilon_n \EE
&= \ln (n-1)! + \ff{1}{2}\ln n + \varepsilon_n
\end{split}
ここで、$\varepsilon_n$は、左辺の定積分との誤差を表します。
また、左辺に関して、部分積分を利用すれば、
\begin{split}
\int_{1}^{n} \ln x \diff x &= \Big[ x\ln x \Big]_{1}^{n} – \int_{1}^{n} \diff x \EE
&= n\ln n \,- n + 1 \EE
\end{split}
となります。
二式を並べると、次のように表せます。
\begin{split}
\ln (n-1)! + \ff{1}{2}\ln n + \varepsilon_n &= n\ln n \,- n + 1 \EE
\ln (n-1)! &= \left( n \,- \ff{1}{2} \right) \ln n \,- n + 1 \,- \varepsilon_n \EE
&= \ln n^{n – \ff{1}{2}} \,- n + 1 \,- \varepsilon_n
\end{split}
これより、
\begin{split}
(n-1)! &= e^{\ln n^{n – \ff{1}{2}}\,- n + 1\,- \varepsilon_n} \EE
&= n^{n-\ff{1}{2}}e^{-n}e^{1- \varepsilon_n}
\end{split}
となります。
ここで、$\varepsilon = \varepsilon_n + \delta(n)$とし、$e^{1-\varepsilon} = a$として上式を整理すると、
\begin{split}
\Gamma(n) = (n-1)! &= an^{n-\ff{1}{2}}e^{-n}e^{\delta(n)}
\end{split}
となります。
ただし、$\displaystyle{\lim_{n\to \infty} \delta(n)} = 0$です。
さて、$n! = n\Gamma(n)$であるので、
\begin{split}
n! &= n\Gamma(n) \EE
&= n(n-1)! \EE
&= an^{n+\ff{1}{2}}e^{-n}e^{\delta(n)}
\end{split}
となります。
$a$を決定するため、ウォリスの公式を利用しましょう。
\begin{eqnarray}
\sqrt{\pi} &=& \lim_{n \to \infty}\ff{2^{2n} ({n!})^2}{(2n)!\sqrt{n}} \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\ff{2^{2n} (an^{n+\ff{1}{2}}e^{-n}e^{\delta(n)})^2}{a(2n)^{2n+\ff{1}{2}}e^{-2n}e^{\delta(n)}\sqrt{n}} \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\ff{a^2 2^{2n} n^{2n+1}e^{-2n}e^{2\delta(n)}}{a(2n)^{2n+\ff{1}{2}}e^{-2n}e^{\delta(n)}\sqrt{n}} \EE
&=& \lim_{n \to \infty}\ff{a 2^{2n} n^{2n+1}e^{2\delta(n)}}{\sqrt{2}e^{\delta(n)}} \EE
&=& \ff{a}{\sqrt{2}} \EE
\therefore \, a &=& \sqrt{2\pi}
\end{eqnarray}
以上より、$n!$を近似したスターリングの公式が導けます。
統計力学では、より簡潔な公式として、$n! \NEQ n^n e^{-n}$が使われます。