モールの応力円|理論と例題 主応力と最大せん断応力の求め方【材料力学】

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二次元平面に応力せん断力が働いているとき、二次元主応力を計算することができます。

二次元主応力を計算することで最大の応力が働く面、主応力面最大せん断応力が働く面を知ることができます。

しかし、具体的に主応力面の位置を計算するのは面倒で、視覚的にも分かりずらいという問題点があります。

これらの問題点を解決するツールとして、モールの応力円というものがあります。

今回はモールの応力円の理論的な背景と、作図方法について解説します。

参考記事

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モールの応力円

二次元の世界で応力を考えるとき、応力は次のように座標変換できました。(→応力の座標変換

$$
\left\{
\begin{eqnarray}
\sigma &=& \DL{\ff{\sigma_x+\sigma_y}{2}+\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}\cos 2\theta+\tau_{xy}\sin2\theta} \EE
\tau &=& \DL{-\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}}\sin2\theta+ \tau_{xy}\cos2\theta \EE
\end{eqnarray}
\right.
$$

これらの式を次のように変形し、辺々を二乗すると次のようになります。

$$
\left\{
\begin{eqnarray}
\left(\sigma\,-\DL{\ff{\sigma_x+\sigma_y}{2}}\right)^2 &=& \left(\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}\right)^2\cos^2 2\theta+\tau^2_{xy}\sin^2 2\theta \EE
\tau^2 &=& \left( \DL{\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}}\right)^2\sin^2 2\theta+ \tau^2_{xy}\cos^2 2\theta \EE
\end{eqnarray}
\right.
$$

これらの上式を足すと、次のように簡単にできます。

\begin{eqnarray}
\left(\sigma\,-\DL{\ff{\sigma_x+\sigma_y}{2}}\right)^2+\tau^2 &=& \left(\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}\right)^2+\tau^2_{xy}
\end{eqnarray}

右辺は定数であることから、この式は円の方程式を表すと言えます。

これより、この方程式は中心が$\DL{\left(\ff{\sigma_x+\sigma_y}{2} ,0\right)}$で半径が$\DL{\sqrt{\left(\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}\right)^2+\tau^2_{xy}}}$の円を表すと言えます。

すなわち、$\sigma, \tau$(シグマ、タウ)平面上にてこの方程式は次のように図示できます。

モールの応力円

なお、ここではせん断応力の軸を下向きにとります。

この円はモールの応力円と呼ばれ、慣れると様々な情報を引き出せるようになります。

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モールの応力円の特徴

モールの応力円の特徴について考えていきましょう。

三角形に下図のように垂直応力せん断応力が働いているとします。(→垂直応力・せん断応力とは?

斜辺に働く応力

すると、辺$\RM{AB}$、$\RM{BC}$に働く応力は$(\sigma_x, \tau_{max}), (\sigma_y, -\tau_{max})$のような応力の組み合わせとして表示できます。

これをモールの応力円上にプロットすると、次のようになります。

これらの応力は常に円周上にプロットされます。

モールの応力円

さて、モールの応力円と水平軸が交わる位置では、

\begin{eqnarray}
\sigma=\DL{\ff{\sigma_x+\sigma_y}{2}} \pm \DL{\sqrt{\left( \ff{\sigma_x\,-\sigma_y}{2} \right)^2 + \tau_{xy}^2}}
\end{eqnarray}

となりますが、これは主応力と一致します。

主応力を$\sigma_1, \sigma_2$として、$\sigma_1 > \sigma_2$とするとモールの応力円上では上図のような配置となります。

また、モールの応力円の中心点を通り、$\tau$(タウ)軸と平行な交点は最大せん断応力$\tau_{xy}$を表します。

主応力面と主せん断応力面までの角度

モールの応力円上のプロット点を改めて考えます。

このとき、水平軸($\sigma$軸)と二点を結んだ線分が成す角は$2\theta_n$、垂直軸($\tau$軸)と線分が成す角度は$2\theta_t$と表せます。

したがって、$\sigma_x, \sigma_y, \tau_{xy}$が働いている面から主応力・最大せん断応力が働く面までの角度を図から計算できるのです。

応力と主応力面までの位置

このように、モールの応力円上での主応力面までの角度と最大せん断応力の働く面までの角度は実際の二倍であることが重要なポイントです。

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モールの応力円の例題

では、具体的な例題でモールの応力円を描いてみましょう。

二次元応力状態で$\sigma_x = 150\,\RM{MPa}, \sigma_y = 0\,\RM{MPa}, \tau_{xy} = \pm 50\sqrt{3} \,\RM{MPa}$であるときのモールの応力円を描きましょう。

モールの応力円の中心座標は先述の計算より、

\begin{eqnarray}
\ff{\sigma_x + \sigma_y}{2} = \ff{150+(-50)}{2} = 50
\end{eqnarray}

と求められます。

また、円の半径は、

\begin{eqnarray}
\sqrt{\left(\ff{\sigma_x-\sigma_y}{2}\right)^2+\tau^2_{xy}} &=& \sqrt{\left(\ff{150-(-50)}{2}\right)^2+(50\sqrt{3})^2} \EE
&=& 100
\end{eqnarray}

と計算できます。

これらの計算結果よりモールの応力円を描くことができ、図のようになります。

モールの応力円の具体例

このとき、線分$\RM{AB}$と水平軸との成す角度は$60^{\circ}$、垂直軸との成す角度は$30^{\circ}$となります。

これより、主応力面までの角度は$30^{\circ}$、最大せん断応力面までの角度が$15^{\circ}$となります。

主応力と最大せん断応力の計算例

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