統計力学

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ギブスのパラッドクスとは?|エントロピー変化のパラドックス

前回、分配関数を用いたエントロピーの導出を行いましたが、これを元に気体の混合によるエントロピー変化の計算を行うと、ギブスのパラドックスと呼ばれる不合理が導かれます。ギブスのパラドックス同じ温度・圧力の同種の気体を混合しても、エントロピーの変...
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分配関数によるエントロピーの導出|統計力学と熱力学の接点

統計力学の重要な成果である分配関数を用いて、熱力学の重要概念であるエントロピーを再考していきます。もちろん、ボルツマンの原理から微視的状態数とエントロピーの関係は分かっているため、目新しい内容という訳ではありませんが、分配関数を用いてもエン...
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エネルギーのゆらぎとは?|エネルギーの変動値の導出と評価

今回は系の『エネルギーのゆらぎ』について考えます。”ゆらぎ”は物理的な表現で、数学的には標準偏差(=平均値からの変動)のことを意味します。このとき、エネルギーのゆらぎは次のように表されます。エネルギーのゆらぎ$c_v$ を定積比熱、$k_B...
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デュロン・プティの法則とは?|個体のモル比熱の法則と統計力学

室温程度の環境で個体のモル比熱(正確には定積モル比熱)は、一部の例外を除いて一般気体定数 $R_0$ の $3$ 倍程度となることが知られています。この経験的事実は、発見者二人の名前を冠してデュロン・プティの法則と呼ばれます。デュロン・プテ...
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グランドポテンシャルとは?|大分配関数と熱力学の接点

前回、大分配関数の具体的な式を導出しました。今回はグランドポテンシャルという物理量を導入し、大分配関数と熱力学との関係を探っていきます。結論を示すと、大分配関数とグランドポテンシャルの間には次のような関係が成立します。大分配関数とグランドポ...
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大分配関数とは?|ギブス自由のエネルギーと大分配関数の関係

前回、グランドカノニカルアンサンブルの理論から大分配関数 $\DL{Z_G=\sum_{i,j}w_{i,j}\,e^{-\beta E_{i,j}-\gamma\,N_i}}$ というものを導きました。しかしながら、指数部分の $\bet...
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グランドカノニカルアンサンブルとは?|理論と導出

今回は、カノニカルアンサンブル(正準集団)の理論を拡張したグランドカノニカルアンサンブル(大正準集団)の理論について解説していきます。カノニカルアンサンブルでは部分系を閉じた系と考え物質の移動を考えませんでしたが、グランドカノニカルアンサン...
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エネルギー等分配則とは?|自由度とエネルギーの分配法則

統計力学の重要な成果として、エネルギー等分配則があります。エネルギー等分配則とは、どの自由度に対しても同じ大きさのエネルギーが配分されるという法則のことです。具体的には、次のようにエネルギーが分配されます。エネルギー等分配則とは?$1$ 自...
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物理量の平均値と自由粒子の平均エネルギーの導出|分配関数の応用

エネルギー等分配則を理解する準備として、自由粒子の平均エネルギーの導出過程について解説します。まず、一般論としてある物理量 $A$ (速度・運動量・エネルギー等)の平均値 $\langle A\rangle$ は次にように表せ、物理量の平均...
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カノニカルアンサンブルとは?|カノニカル分布と分配関数の導出

統計力学の重要概念であるカノニカルアンサンブル($\RM{canonical\,ensemble}$, 正準集団)と分配関数について解説します。カノニカルアンサンブルとは?カノニカルアンサンブル:多数の閉じた系を集めた統計集団のこと※カノニ...