電力とは?|電力の定義と電流が行う仕事の大きさの導出

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電流が単位時間当たりに行う仕事のことを電力と呼びます。なお、電力は次のように与えられます。

電力とは?

電流が単位時間当たりに行う仕事電力と呼ぶ。電力 $P$ は次のように表される。

\begin{split}
P=IV=I^2R=\ff{V^2}{R}
\end{split}

ただし、$I$ を電流、$V$ を電圧、$R$ を抵抗とする。

電力が上のように与えられる理由について説明していきます。

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電力とは?

コンセントを繋いでスイッチを押すと扇風機の羽根が回転するように、電流には機器に仕事をさせる能力があります。

また、電流が持つ仕事の大きさを知ることは実用上重要なことです。そこで、電流の仕事の大きさを求めることとします。

まずは基本に立ち返り、導体中を移動する電子が持つエネルギーについて考えます。

さて、図のように抵抗が電圧 $V$ の電池に繋がれているとき、電子が受ける力の大きさ $F$ は下のように与えられます。ただし、$e$ を電荷素量、$l$ の抵抗の長さ、$S$ を抵抗の断面積とします。

\begin{split}
F=e\ff{V}{l}
\end{split}

ここで、電子の平均速度を $v$ とします。すると、$t$ 秒間に $vt$ 移動するので電子がされた仕事 $w$ を次のよう計算できます。

\begin{split}
w=Fx=e\ff{V}{l}\cdot vt
\end{split}

次に、単位当たりの電子の個数を $n$ とします。すると、抵抗に含まれる電子の総数を $nSl$ と置けます。したがって、抵抗の中の電子全体が受ける仕事 $W$ を

\begin{split}
W=nSl\cdot w=envS\cdot Vt
\end{split}

と求められます。ここで、電流が $I=envS$ と与えられることを用いると、

\begin{split}
W=I Vt
\end{split}

の関係が得られます。これより、電流が単位時間当たりに行う仕事を $P=IV$ と置けます。これは冒頭で紹介した電力の表式と一致します。この結果にさらにオームの法則より得られた $V=RI$ の関係式を適用すると、このように変形できます。

\begin{split}
P&=IV=I(RI)=RI^2\EE
&=\ff{V}{R}V=\ff{V^2}{R}
\end{split}

電力とは?

電流が単位時間当たりに行う仕事電力と呼ぶ。電力 $P$ は次のように表される。

\begin{split}
P=IV=I^2R=\ff{V^2}{R}
\end{split}

ただし、$I$ を電流、$V$ を電圧、$R$ を抵抗とする。

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最大消費電力の導出

ところで、電力が最大となる条件を知ることは電流を無駄なく効率的に使うために重要となります。そこで、電気回路にて、電力が最大となる条件について調べることとします。

ここでは、電池(直流電源)に抵抗が繋がれた最も単純な電気回路での電力について考えることとします。

さて、電池のような電源は抵抗 $0$ という訳ではなく、内部にわずかな抵抗を持ちます。このように、電源が内部に持つ抵抗のことを内部抵抗と呼びます。

そのため、電池に抵抗が一つ繋がれた最も単純な電気回路であっても、厳密には $2$ つの抵抗が繋がれた電気回路として考えなければなりません。

この様子を描くと、下図のようになります。なお、内部抵抗の大きさを $r$、繋いだ抵抗の大きさを $R$ としています。今、回路のある点で測定した電流が $I$ であったとします。考えている電気回路には分岐が無いため、電荷保存則から、回路の全ての点で $I$ の電流が流れていると言えます。

内部抵抗の模式図

これより、内部抵抗にも $I$ の電流が流れていると言えます。また、内部抵抗に対してオームの法則を適用すると、内部抵抗には $rI$ の電位差が生じていることも分かります。

ところで、回路全体での電位差(=電圧)は $V$ であるため、抵抗 $R$ での電位差は $V-rI$ とならなければなりません。ゆえに、抵抗 $R$ に対してオームの法則を適用すると、

\begin{split}
&V-rI=RI\EE
\therefore\,\,&I=\ff{V}{R+r}
\end{split}

と電流値が求められます。以上より、抵抗での電力 $P$ が次のように計算できます。

\begin{split}
P&=I^2R=\ff{V^2R}{(R+r)^2}
\end{split}

$P$ が最大となる $R$ の条件が知りたいため、技巧的にはなりますが、次のような変形を行います。

\begin{split}
P&=\ff{V^2}{\DL{\left(\sqrt{R}+\ff{r}{\sqrt{R}}\right)^2}}\EE
&=\ff{V^2}{\DL{\left(\sqrt{R}-\ff{r}{\sqrt{R}}\right)^2}+4r}
\end{split}

$P$ が最大となるためには、上の分母が最小とならなければなりません。よって上式の分母にて、$\DL{\sqrt{R}=\ff{r}{\sqrt{R}}}$ であれば、電力が最大となることが言えます。言い換えると、$R=r$ のとき電力が最大となります。

実用的には機器の抵抗値 $R$ が決まっている場合が多いため、電源側には抵抗値を変えられる可変抵抗が搭載されているものもあります。

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