循環とは?|閉曲線を巡る流れと渦度の対応関係

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流れの様子を表す指標の一つに循環という物理量があります。循環は次のように定義されます。

循環とは?

速度ベクトルを $\B{v}$ として、以下の周回積分により計算される物理量を循環と呼び、$\Gamma$(ガンマ)と表す。

\begin{split}
\Gamma=\oint_C\B{v} \cdot \diff \B{r} \\
\,
\end{split}

今回は、複素速度複素関数論を利用して循環を導いていきます。

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複素速度と流量の関係

はじめに、閉曲線 $C$ で囲まれた領域内で生じる流量 $Q$ について求めます。

循環と流量

流入する流量を $Q_{in}$ 流出する流量を $Q_{out}$ とすると、$Q$ の間に、 $Q=Q_{out}-Q_{in}$ という関係を導けます。これに流れ関数と流量の関係を用いることで、次のように変形できます。

\begin{split}
Q=Q_{out}-Q_{in}=\int_A^B \diff \psi+\int_{B}^A\diff \psi
\end{split}

$A\to B\to A$ の経路は $C$ を一周する経路のため、周回積分として表せ、

\begin{split}
Q=\int_C \diff \psi = \int_C(u\diff y-v\diff x)
\end{split}

とできます。さらに、$\diff \psi=u\diff y-v\diff x$ の関係があるので、$\DL{Q=\int_C(u\diff y-v\diff x)}$ ともできます。

$C$ 内部に湧き出しや吸い込みが無ければ、$Q$ は $0$ となります。これは正則関数コーシーの積分定理の関係を思い出させます。

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循環とは?

次は、閉曲線上を巡る流量について求めます。$C$ 上の線素 $\diff s$ に注目し、複素速度 $q$ を線素に沿う方向と鉛直な方向に分解します。線素を足し合わせることで、閉曲線上を巡る流量が求められます。

循環の模式図

$C$ に沿った流速を $q_s$ とすると図より、$q_s$ が内積を使って表せ、

\begin{split}
\B{q}_s=\B{q} \cdot \diff \B{s}
\end{split}

したがって、閉曲線に沿った流量が次のように求められます。

\begin{split}
\oint_C\B{q}_s=\oint_C\B{q} \cdot \diff \B{s}
\end{split}

流体力学ではこの物理量を循環と呼びます。循環という特別な名前が与えられている理由は今後明らかにしていきます。

循環とは?

以下の周回積分によって表される物理量を循環と呼び、$\Gamma$(ガンマ)と表す。

\begin{split}
\Gamma=\oint_C\B{q} \cdot \diff \B{s} \\
\,
\end{split}

また、$\B{q}=u\B{i}+v\B{j}$、$\diff\B{s}=\diff x\,\B{i}+\diff y\,\B{j}$ であるため循環を

\begin{split}
\Gamma&=\oint_C\B{q} \cdot \diff \B{s} \EE
&=\oint_C(u\B{i}+v\B{j})(\diff x\B{i}+\diff y\B{j}) \EE
&=\oint_C(u\diff x+v\diff y)
\end{split}

とも表せます。ただし、$\B{i}, \B{j}, \B{k}$ を単位ベクトルとします。

ここでは、2次元での循環を考えましたが3次元の場合でも同じ式が成立します。すなわち、3次元での循環は以下のようになります。

\begin{split}
\Gamma&=\oint_C\B{q} \cdot \diff \B{s} \EE
&=\oint_C(u\B{i}+v\B{j}+w\B{k})(\diff x\B{i}+\diff y\B{j}+\diff z\B{k}) \EE
&=\oint_C(u\diff x+v\diff y+w\diff z)
\end{split}

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循環と渦度の関係

ところで、循環渦度の間には次のような関係があります。

循環と渦度

循環は $C$ 内部の渦度の総和と一致し、次の関係がある。

\begin{split}
\Gamma=\oint_C\B{v} \cdot \diff \B{r} = \iint_S \B{\zeta}\cdot \B{n}\,\diff S\\
\,
\end{split}

この関係式は循環と、閉曲線内部を貫く渦度ベクトルが結び付くことを主張しています。正確にはストークスの定理から証明されるのですが、ここでは簡単な説明を行います。

$C$ 内部に微小な面積 $\diff S$ をとり、それを貫く渦度ベクトルを $\B{\zeta}$(ゼータ)とします。また、$\diff S$ に対する法線ベクトルを $\B{n}$ とします。

循環と渦度

$\diff S$ に注目し、長方形の各頂点を $\RM{A, B,C, D}$ とします。

今、各点の座標を $\RM{A}(x-\D x, y+\D y)$, $\RM{B}(x+\D x, y+\D y)$, $\RM{C}(x+\D x, y-\D y)$, $\RM{D}(x-\D x, y-\D y)$ とします。そして、各辺の中点を $G_1, G_2, G_3, G_4$ とします。

このとき、速度ベクトル場 $\B{q}$ に関する次の関係式が得られます。

$$
\left\{
\begin{split}
\,\B{q}(G_1)=\B{q}(x,y+\D y)&=\B{q}+\ff{\del \B{q}}{\del y}\D y \EE
\,\B{q}(G_2)=\B{q}(x+\D x,y)&=\B{q}+\ff{\del \B{q}}{\del x}\D x \EE
\,\B{q}(G_3)=\B{q}(x,y-\D y)&=\B{q}-\ff{\del \B{q}}{\del y}\D y \EE
\,\B{q}(G_4)=\B{q}(x-\D x,y)&=\B{q}-\ff{\del \B{q}}{\del x}\D x
\end{split}
\right.
$$

また、$\overrightarrow{AB},\overrightarrow{BC},\overrightarrow{CD},\overrightarrow{DA}$ は

$$
\left\{
\begin{split}
\,\overrightarrow{AB}&=2\D x\,\B{i} \\
\,\overrightarrow{BC}&=-2\D y\,\B{j} \\
\,\overrightarrow{CD}&=-2\D x\,\B{i} \\
\,\overrightarrow{DA}&=2\D y\,\B{j}
\end{split}
\right.
$$

であるので、微小な長方形についての周回積分を、

\begin{split}
\oint_{ABCD}\B{q} \cdot \diff \B{s}\,&\NEQ\B{q}(G_1)\cdot 2\D x\,\B{i}-\B{q}(G_2)\cdot2\D y\,\B{j} \EE
&\qquad -\B{q}(G_3)\cdot 2\D x\,\B{i}+\B{q}(G_4)\cdot 2\D x\,\B{j}\\[6pt]
&= \left( \ff{\del v}{\del x}-\ff{\del u}{\del y} \right)(4\D x\D y)
\end{split}

と近似できます。

今、$\diff S=4\D x\D y$ のため、$\DL{\oint_{ABCD}\B{q} \cdot \diff \B{s}=\left( \ff{\del q_y}{\del x}-\ff{\del q_x}{\del y} \right)\diff S}$ とできます。

ところで渦度

\begin{split}
\B{\zeta} &= \left( \ff{\del w}{\del y}-\ff{\del v}{\del z} \right)\B{i}+\left( \ff{\del u}{\del z}-\ff{\del w}{\del x} \right)\B{j}+\left( \ff{\del v}{\del x}-\ff{\del u}{\del y} \right)\B{k}
\end{split}

であるため、$\B{\zeta}\cdot \B{k}\,\diff S$ を計算すると、

\begin{split}
\B{\zeta}\cdot \B{k}\,\diff S=\B{\zeta}\cdot \B{n}\,\diff S=\left(\ff{\del v}{\del x}-\ff{\del u}{\del y}\right)\diff S
\end{split}

となって、先述の右辺と一致することが確認できます。$\B{k}$ は法線ベクトル $\B{n}$ と一致するので、$\DL{\oint_{ABCD}\B{q} \cdot \diff \B{s}=\iint_{ABCD}\B{\zeta}\cdot \B{n}\,\diff S}$ であることを導けます。

これを $S$ 全体に渡って計算すると、前述の関係式を証明できます。

流体力学で重要なポイントは、循環の値は内部を貫く渦度の総和と一致するということです。

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複素速度と循環の関係

さらに、複素速度循環の間には以下の関係があることが知られています。

循環と複素速度の関係

$q$ を複素速度、$C$ を単純閉曲線とする。このとき、循環 $\Gamma$ と $C$ 内部で生じる流量 $Q$ の間には次の関係がある。

\begin{split}
\oint_C q\diff z= \Gamma+iQ\\
\,
\end{split}

今、$q=u-iv$、$\diff z=\diff x+i\diff y$ であるため、$q\diff z$ は、

\begin{split}
q\diff z&=(u-iv)(\diff x+i\diff y)\EE
&=(u\,\diff x+v\,\diff y)+i(-v\,\diff x+u\,\diff y) \EE
&= \diff \varphi+i\diff \psi
\end{split}

であり、展開すると速度ポテンシャル流れ関数の和に整理できます。そして、今までの議論から、

$$
\left\{
\begin{split}
\,\Gamma&=\oint_C (u\,\diff x+v\,\diff y) \EE
\,Q&=\oint_C (-v\,\diff x+u\,\diff y)
\end{split}
\right.
$$

という対応を導け、これより、

\begin{split}
\oint_C q\,\diff z&= \oint_C(u\,\diff x+v\,\diff y)+i\oint_C(-v\,\diff x+u\,\diff y)\EE
&=\oint_C \diff \varphi+i\int_C \diff \psi \EE
&= \Gamma+iQ
\end{split}

の関係を示せました。

これより、複素速度の周回積分を実行することで、循環とその領域で生じる流量が同時に求められることが理解できます。

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