単純支持梁の曲げの解法|丁寧な解説による材料力学の基本問題③

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単純支持梁のたわみの計算方法について解説します。

単純支持はりは、片持ち梁の場合と比べて追加の境界条件が必要になるため計算が複雑になりますが、基本を押さえていれば、きちんと解くことができます。

中央に集中荷重を受ける単純支持梁のたわみ

長さ $l$ の単純支持梁の中央に作用する集中荷重を $P$、
ヤング率を $E$、断面二次モーメントを $I$ とする。

このとき、梁中央のたわみ変形量$\DL{v\left(\ff{l}{2} \right)}$ は次のように表される。

\begin{eqnarray}
v\left(\ff{l}{2}\right) = \ff{Pl^3}{48EI} \EE
\,
\end{eqnarray}

※片持ちはりの曲げとたわみの計算に関してはこちらの記事で解説しています。

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集中荷重による単純支持はりの曲げ①

長さ $l$ の単純支持梁の中央に大きさ $P$ の集中荷重が働いているとします。このときの単純支持梁中央でのたわみを計算します。

中央に集中荷重を受ける単純支持梁

ステップ1:反力の計算

片持ち梁での計算と同様、自由体図を作図します。

この後、仮想切断面での曲げモーメントを計算したいのですが、ここで問題が発生します。

その問題とは、端点(支点)での反力が分からないことです。ということで、始めに支点での反力を計算しなければなりません。まず、支点での反力を図のように $R_A, R_B$ とします。

中央に集中荷重を受ける単純支持梁と反力

力の釣り合いから$R_B$は、

\begin{split}
&P-R_A-R_B = 0 \EE
&\therefore\,R_B= P-R_A
\end{split}

と計算でき、また、モーメントの釣り合いから、

\begin{split}
&R_A l-P \ff{l}{2} = 0 \EE
&\therefore\,R_A= \ff{P}{2}
\end{split}

と計算できます。まとめると、$\DL{R_A = \ff{P}{2}, R_B = \ff{P}{2}}$ と求められます。

ステップ2:自由体図の作成

次に自由体図を考え、仮想切断面での曲げモーメント $M(x)$ を求めましょう。

ここでは、集中荷重が働いている位置を境に左右の区間に分けて、曲げモーメントを計算します。

$0 \leq x \leq \DL{\ff{l}{2}}$の区間での自由体図と、$\DL{\ff{l}{2}} \leq x \leq l$ の区間での自由体図はそれぞれ図のようになります。

左区間の自由体図
右区間の自由体図

ステップ3:モーメント釣り合い計算

さて、各自由体図は回転していないため、モーメントは釣り合っていると言えます。

まず、$0 \leq x \leq \DL{\ff{l}{2}}$ の区間での曲げモーメントは、次のように計算できます。

\begin{eqnarray}
R_A \,x \,-\, M(x) &=& 0 \EE
\therefore\, M(x) = R_A\,x &=& \ff{Px}{2}
\end{eqnarray}

また、$\DL{\ff{l}{2}} \leq x \leq l$ の区間での曲げモーメントは次のように計算できます。

\begin{eqnarray}
R_A \,x \,-\, P\left( x \,-\, \ff{l}{2} \right) \,-\, M(x) &=& 0 \EE
\therefore\, M(x) = R_A\,x \,-\, P\left( x \,-\, \ff{l}{2} \right) &=& \ff{P}{2}\left( l \,-\, x \right)
\end{eqnarray}

まとめると、

$$
M(x)=\left\{
\begin{eqnarray} &\ff{P}{2}&x\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq l/2) \EE
&\ff{P}{2}&\left( l \,-\, x \right)\,\,\,\, &( l/2 \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
\tag{1}
$$

となります。各区間での仮想切断面に働く曲げモーメントを計算できました。

ステップ4:微分方程式の計算

先程計算した曲げモーメントをたわみ曲線の微分方程式に代入します。

たわみ曲線の微分方程式に関してはこちらで解説しています。まず、$0 \leq x \leq \DL{\ff{l}{2}}$ の区間での微分方程式は、

\begin{eqnarray}
\ff{\diff^2 v}{\diff x^2} = -\ff{Px}{2EI}
\end{eqnarray}

となります。

積分を実行すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff^2 v}{\diff x^2} \diff x &=& -\int \ff{Px}{2EI} \diff x \EE
\theta (x) &=& -\ff{Px^2}{4EI} + C_1
\end{eqnarray}

となり、さらに積分すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff v}{\diff x} \diff x &=& -\int \left( \ff{Px^2}{4EI} + C_1 \right) \diff x \EE
v(x) &=& -\ff{Px^3}{12EI} + C_1 x + C_2
\end{eqnarray}

となります。次に、$\DL{\ff{l}{2}} \leq x \leq l$ の区間での微分方程式は、

\begin{eqnarray}
\ff{\diff^2 v}{\diff x^2} = -\ff{P(l-x)}{2EI}
\end{eqnarray}

となり、積分を実行すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff^2 v}{\diff x^2} \diff x &=& -\int \ff{P(l-x)}{2EI} \diff x \EE
\theta (x) &=& \ff{P(l-x)^2}{4EI} + C_3
\end{eqnarray}

となり、さらに積分すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff v}{\diff x} \diff x &=& \int \left( \ff{P(l-x)^2}{4EI} + C_3 \right) \diff x \EE
v(x) &=& -\ff{P(l-x)^3}{12EI} + C_3 x + C_4
\end{eqnarray}

となります。まとめると、たわみ角$\theta (x)$とたわみ$v(x)$は以下のようになります。

$$
\theta(x)=\left\{
\begin{eqnarray} &-\ff{Px^2}{4EI} + C_1 \,\,\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq l/2) \EE
&\ff{P(l-x)^2}{4EI} + C_3 \,\,\,\,\, &( l/2 \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
\tag{1}
$$

$$
v(x)=\left\{
\begin{eqnarray} &-&\ff{Px^3}{12EI} + C_1 x + C_2 \,\,\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq l/2) \EE
&-&\ff{P(l-x)^3}{12EI} + C_3 x + C_4 \,\,\,\,\, &( l/2 \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
\tag{2}
$$

ステップ5:境界条件の検討

たわみ曲線を決定するため、境界条件を検討します。

積分定数 $C_1, C_2, C_3, C_4$ は境界条件より決定できます。

注意しなければならないのは、片持ち梁では固定端の条件のみで積分定数を決められましたが、単純支持梁では端点の条件だけでは決定できないことです。

単純支持では、次のような2つの境界条件を利用します。

  1. 端点($x = 0, l$)でたわみが$0$
  2. 中央($x = l/2$)でたわみとたわみ角が一致

端点での条件に加えて、荷重を受ける中央での条件を利用することがポイントです。

ステップ6:積分定数の決定

先程の境界条件から積分定数を計算します。

まず、端点の条件と式(2)より、

$$
\left\{
\begin{eqnarray} v(0) &=& C_2 = 0 \EE \EE
v(l) &=& C_3 \, l + C_4 = 0
\end{eqnarray} \right.
\tag{3}
$$

となります。

次に、中央での条件から、

\begin{eqnarray}
\theta \left( \ff{l}{2} \right) &=& -\ff{Pl^2}{16EI} + C_1 \EE
&=& \ff{Pl^2}{16EI} + C_3 \EE
\therefore C_3 &=& C_1 \,-\, \ff{Pl^2}{8EI} \EE \EE
v\left( \ff{l}{2} \right) &=& -\ff{Pl^3}{96EI} + C_1 \ff{l}{2} + C_2 \EE
&=& -\ff{Pl^3}{96EI} + C_3 \ff{l}{2} + C_4 \EE
\therefore C_4 &=& \ff{l}{2}(C_1 \,-\, C_3) = \ff{Pl^3}{16EI}
\end{eqnarray}

となります。

これらを式(3)に代入すると、

\begin{eqnarray}
v(0) &=& C_2 \EE
0 &=& C_3\, l + C_4 \EE
&=& C_3\, l + \ff{Pl^3}{16EI} \EE
\therefore C_3 &=& – \ff{Pl^2}{16EI} \EE
\therefore C_1 &=& \ff{Pl^2}{16EI}
\end{eqnarray}

となり、積分定数を決定できました。

ステップ7:はり中央のたわみの計算

以上より、たわみ曲線は、

$$
v(x)=\left\{
\begin{eqnarray} &-&\ff{Px^3}{12EI} + \ff{Pl^2}{16EI} x \,\,\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq l/2) \EE \EE
&-&\ff{P(l-x)^3}{12EI} \,-\, \ff{Pl^2}{16EI} x + \ff{Pl^3}{16EI} \,\,\,\,\, &( l/2 \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
$$

と求められます。

したがって、梁中央でのたわみは、

$$
v\left(\ff{l}{2}\right)=\left\{
\begin{eqnarray} &-&\ff{Pl^3}{96EI} + \ff{Pl^3}{32EI} = \ff{Pl^3}{48EI} \,\,\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq l/2) \EE \EE
&-&\ff{Pl^3}{96EI} \,-\, \ff{Pl^3}{32EI} + \ff{Pl^3}{16EI} = \ff{Pl^3}{48EI} \,\,\,\,\, &( l/2 \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
$$

となります。左右の区間でのたわみが一致することも確かめられました。

まとめると、中央で集中荷重を受ける単純支持梁のたわみ $\DL{v\left(\ff{l}{2}\right)}$ は次のようになります。

中央に集中荷重を受ける単純支持梁のたわみ

長さ $l$ の単純支持梁の中央に作用する集中荷重を $P$、
ヤング率を $E$、断面二次モーメントを $I$ とする。

このとき、梁中央のたわみ変形量$\DL{v\left(\ff{l}{2} \right)}$ は次のように表される。

\begin{eqnarray}
v\left(\ff{l}{2}\right) = \ff{Pl^3}{48EI} \EE
\,
\end{eqnarray}

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集中荷重による単純支持はりの曲げ②

次は、梁の任意の位置に集中荷重が働く場合でのたわみを計算してみましょう。

具体的には、長さ $l$ の単純支持梁の任意の位置に集中荷重 $P$ が働いている場合を考えます。

ただし、$a+b=l$ とします。

任意の位置に集中荷重を受ける単純支持梁

ステップ1:反力の計算

まずは、支点からの反力を計算します。

任意の位置に集中荷重を受ける単純支持梁と反力

なお、支点からの反力を $R_A, R_B$ とします。

まず、力の釣り合いを考えると、次のようになります。

\begin{split}
&-R_A+ P-R_B = 0 \EE
&\quad\therefore R_B = P-R_A
\end{split}

さらにモーメントの釣り合いから、$R_A, R_B$ が次のように求められます。

\begin{split}
R_A l-&Pb = 0 \EE
\therefore R_A &= \ff{b}{l}P \EE
\therefore R_B &= \ff{a}{l}P
\end{split}

ステップ2:自由体図の作成

次に、自由体図を考え、仮想切断面での曲げモーメント $M(x)$ を考えます。先程と同様、集中荷重が働いている位置を境に、自由体図を左右の区間に分けて曲げモーメントを計算します。

各区間での自由体図は、次のようになります。

ステップ3:モーメント釣り合い計算

次に、各区間のモーメントの釣り合いを考え、曲げモーメントを計算します。

まず、$0 \leq x \leq a$ の区間での曲げモーメントは次のように計算できます。

\begin{eqnarray}
R_A \,x &-& M(x) = 0 \EE
\therefore\, M(x) &=& R_A\,x = \ff{Pb}{l}x
\end{eqnarray}

次に、$a \leq x \leq l$ の区間での曲げモーメントは次のように計算できます。

\begin{eqnarray}
R_A \,x \,&-&\, P\left( x \,-\, a \right) \,-\, M(x) = 0 \EE
\therefore\, M(x) &=& R_A\,x \,-\, P\left( x \,-\, a \right) = \ff{Pa}{l}(l-x)
\end{eqnarray}

まとめると、曲げモーメントは、

$$
M(x)=\left\{
\begin{eqnarray} &\ff{Pb}{l}&x\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq a) \EE \EE
&\ff{Pa}{l}&\left( l \,-\, x \right)\,\,\,\, &(a \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
$$

となります。

ステップ4:微分方程式の計算

では、たわみ曲線の微分方程式を考えてみましょう。まず、$0 \leq x \leq a$の区間では

\begin{eqnarray}
\ff{\diff^2 v}{\diff x^2} = -\ff{Pb}{EIl}x
\end{eqnarray}

となり、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff^2 v}{\diff x^2} \diff x &=& -\int \ff{Pb}{EIl}x \diff x \EE
\theta (x) &=& -\ff{Pb}{2EIl}x^2 + C_1
\end{eqnarray}

となります。さらに積分を実行すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff v}{\diff x} \diff x &=& \int \left( -\ff{Pb}{2EIl}x^2 + C_1 \right) \diff x \EE
v(x) &=& -\ff{Pb}{6EIl}x^3 + C_1 x + C_2
\end{eqnarray}

となります。次に、$a \leq x \leq l$ の区間では

\begin{eqnarray}
\ff{\diff^2 v}{\diff x^2} = -\ff{Pa}{EIl}(l-x)
\end{eqnarray}

となります。積分を実行すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff^2 v}{\diff x^2} \diff x &=& -\int \ff{Pa}{EIl}(l-x) \diff x \EE
\theta (x) &=& \ff{Pa}{2EIl}(l-x)^2 + C_3
\end{eqnarray}

となります。さらに積分を実行すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff v}{\diff x} \diff x &=& \int \left( \ff{Pa}{2EIl}(l-x)^2 + C_3 \right) \diff x \EE
v(x) &=& -\ff{Pa}{6EIl}(l-x)^3 + C_3 x + C_4
\end{eqnarray}

が得られます。

ステップ5:境界条件の検討

先程と同様に次のような境界条件を与えます。

  1. 端点($x = 0, l$)でたわみが$0$
  2. $x = a$でたわみとたわみ角が一致

このように、境界条件が少し変化します。

ステップ6:積分定数の決定

境界条件から積分定数を計算しましょう。端点の条件から、

$$
\left\{
\begin{eqnarray} v(0) &=& C_2 = 0 \EE \EE
v(l) &=& C_3 \, l + C_4 = 0
\end{eqnarray} \right. \tag{4}
$$

となります。次に、$x=a$での条件から、

\begin{eqnarray}
\theta (a) &=&-\ff{Pa^2 b}{2EIl} + C_1 \EE
&=& \ff{Pab^2}{2EIl} +C_3 \EE
\therefore C_1 \,-\, C_3 &=& \ff{Pab}{2EI} \EE \EE
v(a) &=& -\ff{Pa^3b}{6EIl} + C_1 a \EE
&=& -\ff{Pab^3}{6EIl} + C_3 a + C_4 \EE
\therefore C_4 &=& (C_1 \,-\, C_3)a \,-\,\ff{Pab}{6EI}(a-b) \EE
&=& \ff{Pab}{6EI}\left( l + a \right)
\end{eqnarray}

となります。式(4)に代入して、

\begin{eqnarray}
C_3 &=& -\ff{1}{l}C_4 \EE
&=& -\ff{Pab}{6EI}\left( 1+\ff{a}{l} \right) \EE
C_1 &=& \ff{Pab}{2EI} + C_3 \EE
&=& \ff{Pab}{6EI}\left( 2 \,-\, \ff{a}{l} \right)
\end{eqnarray}

となり、積分定数を決定できました。

ステップ7:$x=a$でのたわみの計算

以上より、たわみ曲線は、

$$
v(x)=\left\{
\begin{eqnarray} &-&\ff{Pb}{6EIl}x^3 + \left\{ \ff{Pab}{6EI}\left( 2 \,-\, \ff{a}{l} \right)\right\} x \,\,\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq a) \EE \EE
&-&\ff{Pa}{6EIl}(l-x)^3 -\ff{Pab}{6EI}\left( 1+\ff{a}{l} \right) x + \ff{Pab}{6EI}\left( l + a \right) \,\,\,\,\, &( a \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
$$

と計算できます。$x=a$でのたわみは、

$$
v(a)=\left\{
\begin{eqnarray} &\ff{Pa^2b}{3EI}&\left(1-\ff{a}{l} \right) = \ff{Pa^2b^2}{3EIl} \,\,\,\,\,\,\, &(0 \leq x \leq a) \EE \EE
-&\ff{Pab}{6EIl}&(a^2+b^2) + \ff{Pabl}{6EI} = \ff{Pa^2b^2}{3EIl} \,\,\,\,\,\, &( a \leq x \leq l)
\end{eqnarray} \right.
$$

となります。

任意の位置に集中荷重を受ける単純支持梁のたわみ

長さ $l$ の単純支持梁の左端から $a$ の位置に集中荷重 $P$ が作用しているとき、

位置 $a$ でのたわみ変形量$\DL{v\left(a \right)}$ は次のように表される。

\begin{eqnarray}
v\left(a \right) = \ff{Pa^2b^2}{3EIl} \quad(a+b=l) \\
\,
\end{eqnarray}

ただし、ヤング率を $E$、断面二次モーメントを $I$ とする。

$a=b=l/2$とすると、先程のたわみの計算結果と一致することが分かります。

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分布荷重による単純支持はりの曲げ

最後に、長さ $l$ の単純支持梁に大きさ $w$ の分布荷重が働いている場合を考えます。

ただし、$w = \DL{\ff{P}{l}}$ とします。

分布荷重を受ける単純支持梁

このときの単純支持梁中央でのたわみを計算します。

ステップ1:反力の計算

最初に支点での反力を計算します。

分布荷重を集中荷重に置き換えると、中央に働く集中荷重として置き換えられます。

分布荷重を受ける単純支持梁と反力

これより、モーメントの釣り合いを使って、$R_A$ を次のように求められます。

\begin{split}
&R_A \,l-wl\cdot \ff{l}{2} = 0 \EE
&\quad\therefore R_A = \ff{wl}{2}
\end{split}

また、力の釣り合いから$R_B = R_A = \DL{\ff{wl}{2}}$ と求められます。

分布荷重がはり中央に働く集中荷重として置き換えられる理由を解説します。

その答えはモーメント計算にあります。

はり右端を基準として、分布荷重によるモーメントを考えると、次のように積分の形で表せます

\begin{eqnarray}
\int_{0}^{l} w(l-x)\diff x
\end{eqnarray}

この積分を実行すると、次のようになります。

\begin{eqnarray}
\int_{0}^{l} w(l-x)\diff x &=& \left[-\ff{1}{2}w(l-x)^2 \right]_{0}^{l} \EE
&=& -\ff{1}{2}wl^2 = wl\cdot \ff{l}{2}
\end{eqnarray}

この計算結果から、はりの中央に集中荷重$wl$が働いていると見なせることが分かります。

ステップ2:自由体図の作成

自由体図を考え、曲げモーメント $M(x)$ について考えます。

分布荷重を受ける単純支持梁の自由体図

分布荷重を集中荷重に置き換えると、図のようになることがポイントです。

集中荷重を受ける単純支持梁の自由体図

ステップ3:モーメント釣り合い計算

先程の自由体図から曲げモーメントを計算すると、このようになります。

\begin{eqnarray}
R_A x \,- \int_{0}^{x} wx \diff x -M(x) &=& 0 \EE
R_A x \,-\, \ff{1}{2} wx^2 \,-\, M(x) &=& 0 \EE
\therefore M(x) = R_A x \,-\, \ff{1}{2} wx^2 &=& \ff{1}{2}wx(l-x)
\end{eqnarray}

ステップ4:微分方程式の計算

曲げモーメントの計算結果をたわみ曲線の微分方程式に代入します。

\begin{eqnarray}
\ff{\diff^2 v}{\diff x^2} &=& -\ff{w}{2EI}x(l-x) \EE
&=& \ff{w}{2EI} (x^2 \,-\, lx)
\end{eqnarray}

1回積分すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff^2 v}{\diff x^2} \diff x &=& \int \ff{w}{2EI} (x^2 \,-\, lx) \diff x \EE
\theta (x) &=& \ff{wx^3}{6EI} \,-\, \ff{wlx^2}{4EI} + C_1
\end{eqnarray}

さらに積分すると、

\begin{eqnarray}
\int \ff{\diff v}{\diff x} \diff x &=& \int \left( \ff{wx^3}{6EI} \,-\, \ff{wlx^2}{4EI} + C_1 \right) \diff x \EE
v(x) &=& \ff{wx^4}{24EI} \,-\, \ff{wlx^3}{12EI} + C_1 x + C_2
\end{eqnarray}

となります。

ステップ5:境界条件の検討

積分定数が2つなので、境界条件が2つ分かれば、積分定数を決定できることが分かります。

今回の場合では、左端と右端ではりのたわみが$0$であることを境界条件として用います。したがって、境界条件は次のようになります。

$$ v(0) = v(l) = 0 $$

ステップ6:積分定数の決定

積分定数を決定します。左端に関しては、

\begin{eqnarray}
v(0) &=& C_2 = 0
\end{eqnarray}

となり、$C_2$が決定できました。右端に関しては、

\begin{eqnarray}
v(l) &=& \ff{wl^4}{24EI} \,-\, \ff{wl^4}{12EI} + C_1 l \EE
0 &=& -\ff{wl^4}{24EI} + C_1 l \EE
\therefore C_1 &=& \ff{wl^3}{24EI}
\end{eqnarray}

となり、$C_1$が決定できました。

ステップ7:はり中央のたわみの計算

以上より、たわみ曲線は、

\begin{eqnarray}
v(x) &=& \ff{wx^4}{24EI} \,-\, \ff{wlx^3}{12EI} + \ff{wl^3x}{24EI}
\end{eqnarray}

と求められます。従って、はり中央でのたわみは、

\begin{eqnarray}
v\left(\ff{l}{2}\right) &=& \ff{wl^4}{384EI} \,-\, \ff{wl^4}{96EI} + \ff{wl^4}{48EI} \EE
&=& \ff{5wl^4}{384EI} = \ff{5Pl^3}{384EI}
\end{eqnarray}

と求められます。

分布荷重を受ける単純支持梁のたわみ

長さ $l$ の単純支持梁に作用する分布荷重の大きさを $w$、
ヤング率を $E$、断面二次モーメントを $I$ とする。

このとき、梁中央のたわみ変形量 $\DL{v\left(\ff{l}{2} \right)}$ は次のように表される。

\begin{eqnarray}
v\left(\ff{l}{2} \right) = \ff{5wl^4}{384EI} = \ff{5Pl^3}{384EI} \EE
\,
\end{eqnarray}

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はりの不静定問題

次のような一端支持他端固定はりの静力学的な釣り合いを考えます。

一端支持他端固定はり

反力とモーメントを書き加えるとこのようになります。(固定端では反力に加えて、曲げモーメントが生じます。)

一端支持他端固定はりのモーメント・反力

力の釣り合いとモーメントの釣り合いを考えると、次のようになります。

$$
\left\{
\begin{eqnarray}
&wl \,-\, R_A \,-\, R_B = 0 \EE \EE
&-\ff{1}{2}wl^2 + R_A l \,-\, M_B = 0
\end{eqnarray} \right.
$$

未知数は3つありますが、式は2つしかありません。そのため、全ての未知数を確定させることができません。

このように、静力学的な条件だけで未知数を決定できない問題を不静定問題と呼びます。はりの不静定問題では、追加の条件を課して未知数を決定します。はりの不静定問題の解説は、別の機会に行います。

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