電流とは?|動電気から静電気へ【電流の定義】

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今までは、静電気の形成する電場やそれらの性質について説明してきました。今回からは移動する電気つまり、動電気の性質について考えていきます。

動電気の中で最初に定義されるのは、電流という物理量です。電流は次のように定義される物理量です。

電流とは?

単位時間当たりに断面積 $S$ を通過する電気量電流と呼ぶ。
なお、単位として $[\RM{A}](=\RM{[C/s]})$(アンペア)を用いる。

すなわち、$e$ を電荷素量、$v$ を電子の平均速度、$n$ を単位体積当たりの自由電子の個数として、電流 $I$ は次のように与えられる。

\begin{split}
I=evnS
\end{split}

電流スカラー量であることに注意。電荷の流れ方向も含む場合は電流密度を用いる。

まずは、静電気の概念から一歩進んで動電気の概念について説明していきます。

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静電気から動電気へ

ミリカンの実験でも説明したように、摩擦などにより物体中の電子は移動して帯電します。この結果、元々は中性だった物体は電気を帯びるようになります。

この電荷は静止した状態のため、”静電気”と呼ばれます。静電気を帯びた物体同士には、クーロンの法則に従う力が作用する様子を観測できますが、スマホや電灯を灯す電気と同一であるかは判断できません。

この疑問については、静電気を貯め込んだ物体を用意して型の蛍光灯に接触させるという実験を行うと答えることができます。この実験を実際に行ったのが下の動画になります。

上の実験から分かるように、静電気は電灯を灯す能力を持つことが分かります。棒に蓄えられた電荷が蛍光灯を通って移動したため、電灯が灯ったと考えられます。したがって、静電気も蛍光灯を灯す電気も同じものであると言えます。

さらに、上の実験からは、蛍光灯や家電製品を動かしている電気の正体が移動する電荷であることも分かります。ゆえに、移動する電気を静電気と対比して動電気と呼ぶことにします。

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動電気の担い手とは?

これまでは静電気(静止した電荷)が形成する電場と、電場の存在により生まれる電位電束密度の性質について考えてきました。

これに対して、実験から移動する電荷(=動電気)も存在することが分かりました。動電気の定式化を行う前に、まずは動電気の担い手について考えることにします。

とは言え、動電気の担い手が電荷であることには変わりは無いため、根本的には陽子あるいは電子が動電気の担い手の候補であることは直ぐに判断できます。

さらに、陽子原子核に拘束されているため事実上、移動は不可能です。したがって、動電気の担い手となれるのは自由に動き回れる電子(=自由電子)のみとなります。

このように動電気の担い手は電子となります。よって、動電気を物理学的に解釈すると電子の流れであると考えられます。この様子を描くと下図のようになります。

動電気の模式図

次節にて電子の流れの定式化を試みます。

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電流とは?

動電気の具体的な正体である電子の流れを物理学の知見を用いて定式化していきます。

今まで見てきたように、動電気の担い手は電子であり、そして移動する電子動電気の正体であることが分かりました。これを一歩進めて、電子の流れを定量的に表現する方法について考えます。

とは言え、それほど難しいことではなく、動電気を電子の”流れ”と見なせることに気が付けば簡単に定式化できます。具体的には、電子の流れを単位時間当たりに単位断面積を通過する電子の数として表すことにします。

つまり、電子の平均速度を $v$、導線の断面積を $S$、単位体積当たりの自由電子の個数を $n$ として、通過する電子の数 $N$ が次のように定式化できます。

\begin{split}
N=vnS
\end{split}

ゆえに、単位時間当たりにある断面積 $S$ を通過する電気量 $q$ が以下のように表せます。

\begin{split}
q=eN=evnS
\end{split}

ただし、$e$ を電荷素量とします。

この結果は、導線を単位時間当たり、断面積 $S$ を通過する電気量とも言えます。そこで、この物理量に電流という名前を付けることにします。なお、電流の記号として通常は $I$ または $j$ が割り当てられ、単位として $[\RM{A}]$(アンペア)が使われます。

電流とは?

単位時間当たりに断面積 $S$ を通過する電気量電流と呼ぶ。
なお、単位として $[\RM{A}](=\RM{[C/s]})$(アンペア)を用いる。

すなわち、$e$ を電荷素量、$v$ を電子の平均速度、$n$ を単位体積当たりの自由電子の個数として、電流 $I$ は次のように与えられる。

\begin{split}
I=evnS\\
\,
\end{split}

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