力学とは?|大学物理に入る前に知っておきたいこと 【力学入門】

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力学は、ガリレオから始まり、ニュートンにより体系化された学問体系です。

彼ら以外にも、多くの偉大な科学者が力学の発展に貢献しています。

力学は一番最初に生まれた物理の分野であり、あらゆる物理分野の土台、お手本となる由緒正しい学問です。

それだけでなく、力学は産業革命に貢献するなど、人類に多大な影響を与えた偉大な学問体系です。

また、哲学的な話をすると、力学は物質主義に立脚した学問です。

要するに、世界は物質のみから成り立っているという立場を力学は採用します。(電磁気の存在については一旦目をつむります。)

物質主義の立場では、物質すなわち物体の振る舞いを理解できると、世界のあらゆることが解明できることになります。(もしかしたら、魂や幽霊、はたまた神様や悪魔が存在しているかも知れませんが、それらは力学の範疇を越えます。)

物体の振る舞いとは、具体的には物体の運動と釣り合いのことを意味します。

つまり、力学とは物体の運動や力の釣り合いを支配する物理法則を研究する学問ということです。

力学は大きく分けて二つの分野に分けられます。一つは、物体の釣り合いを考える静力学、もう一つは、物体の運動を考える動力学です。

静力学では、物体の釣り合いを研究します。静力学の世界では、物体は動かず静止したままです。

動力学では、物体の運動を研究します。動力学の世界では、物体が動きます。

力学の分類:動力学と静力学
  • 静力学:力の釣り合いを研究する
  • 動力学:物体の運動を研究する
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静力学とは?

静力学では、物体の釣り合いを考えます。静力学では静止した物体を研究対象にしています。

→静力学の詳しい解説はこちら

静力学では、どんな問題を考えるのか? 具体例を見ていきましょう。

下の図に示すのは、天秤に重りを取り付けたものです。

天秤の釣り合い

この問題では、天秤の腕に重りを取り付け、腕が動かないようにするにはどうすれば良いか?
ということを考えていきます。

静力学で重要になる物理量としてモーメントがあります。モーメントは、力と距離の積で表される物理量です。

→モーメントについての詳しい解説はこちら

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動力学とは?

動力学では、 物体の運動を研究します。 動力学では、物体の運動を研究対象としています。

→動力学についての詳しい解説はこちら

動力学では、どんな問題を考えるのでしょうか?

具体例を見ていきましょう。

下の図に示すのは、斜面を滑り落ちる物体の様子を表したものです。

斜面を滑る物体

この問題では、斜面に置かれた物体がどんな速さで滑るのか?
ということを考えます。

動力学を考える際にポイントとなるのは、物体に作用する力を把握することです。

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力学ってどんな学問?

力学の話からいきなり、静力学・動力学の話に飛んだことに戸惑った読者もいるでしょうから、

これらの用語について一旦整理します。

とは言え、そもそも力学では静力学か動力学かを区別しません。

なぜなら、どちらもニュートンの運動の三法則により統一的に扱えるからです。

→ニュートンの運動の三法則について詳しい解説はこちら

静力学や動力学という言葉は、あまり使われることはありません。どちらかと言えば歴史的な用語です。

なぜ、歴史的な用語になってしまったのかと言うと、古典力学が確立していく過程で、別々のものとして扱われていた両者が同じものだと判明したため、現在では使われなくなったのです。

この歴史的経緯は、活力論争として知られるものと関係していて、中々面白い話なので別の機会に詳しく解説します。

話を戻しますが、力学で重要な役割を果たすのは、ニュートンの運動の三法則です。この法則で物体の振る舞い全てを(基本的に)説明できるため、教科書には静力学も動力学という言葉も出てこないのです。

つまり、こうも言い換えられるのです。

力学とは?

力学とはニュートンの運動の三法則を基に物体の振る舞いを研究する学問

ニュートンの三法則については、別の記事で詳しく解説していきます。

天体力学や流体力学、材料力学、機械力学など力学の名を冠する分野はたくさんありますが、全てニュートンの運動の三法則の上に成り立っています。

力学から派生する様々な力学は以下の記事で詳しく解説しています。

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力学の作法

最後に、物理学が問題にアプローチする際の作法について説明しておきましょう。

冒頭で、力学は物質主義に立脚すると書きましたが、加えてその理論展開はデカルトの提唱した方法論に基づいています。

その方法論とは、

① 確実に明らかな事柄から議論を始める。

② 問題をできるだけ小さな小部分に分割する。

③ 単純なものから複雑なものに順序だてる。

④ 完全な枚挙と全体の通覧

の四つです。

力学で①に相当するものがニュートンの運動の三法則です。

どんな科学分野にもニュートンの運動の三法則に相当する原理・公理があります。しかしながら、この座を手に入れられるのは、あらゆる批判や実験に耐え抜いた一握りの説のみです。

②では、問題を分割することを考えます。どんなに複雑に見える問題でも、単純な現象の積み重ねにより成り立っているはずだとう信念に基づいています。

今後、様々な問題を解いて行くことになりますが、理論展開を注意深く追っていけば、問題を小部分に分割していることに気付くはずです。

③では、小部分に分割した各問題に対して、難易度順に並べることを考えます。

こうすることでブロックを積み重ねるように、最初は手の届かなかった問題を解くことができます。

④では、各小部分を繋ぎ合わせて、一つにします。通しで見て、矛盾なく説明できているかをチェックします。

矛盾が無ければ、晴れて問題が解けたことになります。

いくつか身近な疑問をあげましょう。

・どうして冷蔵庫やエアコンは、コンセントを差すだけで冷やすことができるのでしょうか?

・心臓が一定の間隔で鼓動を刻むのはなぜなのでしょうか?タイマーでも埋め込まれているのでしょうか?

どうして飛行機は飛ぶことができるのでしょうか?

これらの疑問に超自然的な存在を持ち出すことなく答えるのが、物理学(科学)なのです。

→力学分野の目次はこちら

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