歳差運動と章動|回転するコマはなぜ倒れない?【力学】【角運動量保存則】

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回転中のコマはコマの軸が傾いても、軸を傾けたまま倒れずにそのまま回転を維持します。

このように、自転している物体の回転軸が鉛直軸回りに円を描くように振れる現象のことを歳差運動と呼びます。

さて、歳差運動の角速度$\Omega$(鉛直軸回りを回転するときの角速度)は次のように表せます。

歳差運動の角速度

\begin{split}
\Omega = \ff{Mgl}{I\omega} \EE
\,
\end{split}

ただしコマの質量を$M$、慣性モーメントを$I$、重心までの距離を$l$、コマ自身の回転の角速度を$\omega$とします。

今回は歳差運動の角速度の導出過程について解説します。加えて発展的な内容として、章動についても扱います。

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コマの回転と角運動量

歳差運動について計算する前にコマの角運動量について求めましょう。

質量$M$、慣性モーメント$I$のコマが角速度$\omega$で回転していて、このコマが鉛直軸($z$軸)に対し$\theta$だけ傾いているとします。

コマの回転の模式図

前述の通り、コマの角運動量$\B{L}$を求めます。

復習になりますが、慣性モーメントが$I$の物体が角速度$\B{\omega}$で回転しているとき、その物体が持つ角運動量を次のように表せました。

\begin{eqnarray}
\B{L} &=& I \B{\omega}
\end{eqnarray}

さて、物体の重心が、回転中心から距離$\B{r}$離れた位置にあるとして、重心に力$\B{F}$の力が作用しているとします。

このとき、角運動量の時間変化を次のように表せました。

\begin{eqnarray}
\B{N} = \ff{\diff \B{L}}{\diff t} &=& \B{r}\times \B{F} = I\dot{\B{\omega}}
\end{eqnarray}

慣性モーメントの導出

これらの事実を踏まえてコマの角運動量の時間変化について、計算してみましょう。

まず、コマの重心に作用するモーメントを計算します。

重心に働くモーメントの模式図

ここで、動径方向の単位ベクトルを$\B{e}_r$、円周方向の単位ベクトルを$\B{e}_{\phi}$、鉛直軸方向の単位ベクトルを$\B{e}_z$とします。すると、モーメント$\B{N}$を次のように計算できます。

\begin{eqnarray}
\B{N} &=& \B{l} \times (-Mg)\B{e}_z \EE
&=& (l\sin\theta \B{e}_r + l\cos\theta \B{e}_z)\times (-Mg)\B{e}_z \EE
&=& -Mgl\sin\theta \B{e}_r\times (-\B{e}_z) \EE
&=& Mgl\sin\theta \B{e}_{\phi}
\end{eqnarray}

この結果から、モーメントが円周方向に働くことが分かり、中心軸が円周方向に動くだろうと予想ができます。

この予想を、回転運動の運動方程式を解くことで確認してみましょう。

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歳差運動とは?

コマに働くモーメントについて計算できたので、次は回転運動の運動方程式を立てて計算を進めていきます。

回転運動する物体が従う運動方程式は次のような方程式です。

\begin{eqnarray}
\ff{\diff \B{L}}{\diff t} &=& \B{N} = I\dot{\B{\omega}}
\end{eqnarray}

【参考記事】ニュートン記法(時間微分の表記法)

上式に先ほどの計算結果を代入すると、回転するコマの運動方程式を次のように導けます。

\begin{split}
& I\dot{\B{\omega}} = \B{N} \EE
& I\dot{\B{\omega}} = Mgl\sin\theta \B{e}_{\phi}
\end{split}

問題になるのは角速度ベクトル$\B{\omega}$をどう表すか?ですが、角速度ベクトルを次のように表わすと約束します。

『角速度の絶対値を大きさとし、回転軸方向を向きとする。また、回転面を反時計回りに見る方向にベクトルを向ける。』

角速度ベクトル

この約束に従うとベクトル $\B{\omega}$は、回転軸方向に沿って下図のようになり、

角速度ベクトル

図より角速度ベクトルを次のように分解できます。

\begin{split}
& \B{\omega} = \omega\sin \theta \B{e}_r + \omega\cos \theta \B{e}_z \EE
\end{split}

これを上述の運動方程式に代入すると、以下のように計算できます。

\begin{split}
Mgl\sin\theta \B{e}_{\phi} &= I\B{\dot{\omega}} \EE
&= I\omega\ff{\diff}{\diff t}\left( \sin \theta \B{e}_r + \cos \theta \B{e}_z \right) \EE
&= I\omega \left\{ \cos\theta\ff{\diff \theta}{\diff t} \B{e}_r + \sin \theta\ff{\diff \B{e}_r}{\diff t} \right. \EE
&\qquad\qquad \left. \,- \sin\theta \ff{\diff \theta}{\diff t} \B{e}_z + \cos \theta \ff{\diff \B{e}_z}{\diff t} \right\} \EE
&= I\omega \left\{ \cos\theta\ff{\diff \theta}{\diff t} \B{e}_r + \sin \theta \ff{\diff \phi}{\diff t}\B{e}_{\phi} \,- \sin\theta \ff{\diff \theta}{\diff t} \B{e}_z\right\} \EE
Mgl\sin\theta \B{e}_{\phi} &= I\omega \left\{ (\cos\theta\B{e}_r \,- \sin\theta\B{e}_z)\ff{\diff \theta}{\diff t} + \sin \theta \ff{\diff \phi}{\diff t}\B{e}_{\phi} \right\}
\end{split}

コマの傾き$\theta$が一定のとき、$\DL{\ff{\diff \theta}{\diff t}} = 0$となるので、

\begin{split}
I\omega\ff{\diff \phi}{\diff t} = Mgl
\end{split}

となり、円周方向に沿ってコマの回転軸が回転することが分かります。

円周方向の角速度$\DL{\ff{\diff \phi}{\diff t}}$を$\Omega$とすると、

\begin{split}
\Omega = \ff{Mgl}{I\omega}
\end{split}

と表せます。

式からコマは一定の角速度で$z$軸周りを回転することが分かります。

さて、$z$軸周りの回転のことを歳差運動と呼びます。そして、歳差運動の角速度$\Omega$は次のようになります。

歳差運動の角速度

コマの質量を$M$、慣性モーメントを$I$、重心までの距離を$l$、コマ自身の回転の角速度を$\omega$として、歳差運動の角速度$\Omega$は次のように表せる。

\begin{split}
\Omega = \ff{Mgl}{I\omega} \EE
\,
\end{split}

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章動とは?

コマの運動は歳差運動に加えて、章動と呼ばれる運動も存在します。

章動とは、コマの回転軸が周期的に上下に振れる運動のことです。章動がなぜ起きるのかを解析するため、コマの運動についてより詳細な検討を行います。

ここからは複数の知識を組み合わせた、より高度な内容なります。

まず、下図のように鉛直軸($x_3$軸)周りに対称な形状をしたコマを考えます。

対称なコマの回転

ここで、$x_1, x_2, x_3$軸回りのそれぞれの慣性モーメントを$I_1, I_2, I_3$とします。

図から分かるように、それぞれの慣性モーメントの関係は、$I_1 = I_2 \neq I_3$となります。

コマの回転とオイラー・ラグランジュ方程式

先程と同様に、鉛直軸($z$軸)に対して$\theta$傾けた状態でこのコマを角速度$\B{\omega}$で回転させた状況を考えます。

まず、角速度ベクトルの成分は$x_1, x_2, x_3$軸それぞれに分解でき、$\B{\omega} = (\omega_1, \omega_2, \omega_3)$とできます。

鉛直軸に対して傾いた対称なコマの回転

また、コマの姿勢はオイラー角により指定でき、図のように$x, y, z$軸に対して$x_1, x_2, x_3$軸の傾きを$\theta, \phi, \psi$を用いて上図のように表すことができます。

準備が完了したのでコマの運動方程式の導出に取り掛かります。

今回はオイラー・ラグランジュ方程式から運動方程式を導出する方が楽なので、始めにラグランジアンを求めにいきます。

ということで、コマの運動エネルギー$T$とポテンシャルエネルギー$U$を考えます。

まず、運動エネルギーは、

\begin{split}
T = \ff{1}{2}I_1 \omega_1^2 + \ff{1}{2}I_2 \omega_2^2 + \ff{1}{2}I_3 \omega_3^2
\end{split}

とでき、$I_1 = I_2$であることから、

\begin{split}
T = \ff{1}{2}I_1\big( \omega_1^2 + \omega_2^2\big) + \ff{1}{2}I_3 \omega_3^2
\end{split}

となります。さて、角速度ベクトルの各成分はオイラー角を使って次のように表せます。

$$
\left\{
\begin{split}
& \omega_1 = \dot{\phi}\sin \theta \sin\psi + \dot{\theta}\cos\psi \EE
& \omega_2 = \dot{\phi}\sin \theta \cos\psi \,- \dot{\theta}\sin\psi \EE
& \omega_3 = \dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi} \EE
\end{split}
\right.
$$

これを上式に代入すると、運動エネルギーは

\begin{split}
T = \ff{1}{2}I_1\big( \dot{\theta}^2 + \dot{\phi}^2\sin^2 \theta \big) + \ff{1}{2}I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi})^2
\end{split}

と整理できます。

一方、ポテンシャルエネルギー$U$は、

\begin{split}
U = Mgl\cos \theta
\end{split}

となります。以上より、ラグランジアン$L$は、

\begin{eqnarray}
L &=& T- U \EE
&=& \ff{1}{2}I_1\big( \dot{\theta}^2 + \dot{\phi}^2\sin^2 \theta \big) + \ff{1}{2}I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi})^2 \,- Mgl\cos \theta
\end{eqnarray}

と表せます。$\psi$、$\phi$についての運動方程式はオイラー・ラグランジュ方程式より次のように求められます。

$\psi$に関しては、

\begin{eqnarray}
&\,&\ff{\diff}{\diff t}\left( \ff{\del L}{\del \dot{\psi}} \right) \,- \ff{\del L}{\del \psi} = 0 \EE
&\,&\ff{\diff}{\diff t}\Big\{ I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi}) \Big\} = \ff{\diff }{\diff t}(I_3 \omega_3) = 0 \tag{1}
\end{eqnarray}

とでき、$\phi$については、

\begin{eqnarray}
&\,& \ff{\diff}{\diff t}\left( \ff{\del L}{\del \dot{\phi}} \right) \,- \ff{\del L}{\del \phi} = 0 \EE
&\,& \ff{\diff}{\diff t}\Big\{ I_1\dot{\phi}\sin^2 \theta + I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi})\cos \theta \Big\} = 0 \EE
&\,& \ff{\diff}{\diff t}\Big\{(I_1\sin^2 \theta + I_3\cos^2 \theta)\dot{\phi} + I_3\dot{\psi}\cos \theta \Big\} = 0 \tag{2}
\end{eqnarray}

となります。

$\theta, \dot{\theta}$のみによる表式

今後の式変形では、運動方程式を$\theta, \dot{\theta}$のみによって表すことを目的に行います。(章動が回転軸の傾き$\theta$についての時間変化、すなわち$\dot{\theta}$による関数であるため)

さて、$\DL{\ff{\del L}{\del \psi}, \ff{\del L}{\del \phi}}$についてはラグランジアンから分かる通り$0$となります。

そのため、注目すべきなのは$\DL{\ff{\del L}{\del \dot{\psi}}}=p_{\psi}$ と $ \DL{\ff{\del L}{\del \dot{\phi}}}=p_{\phi}$になります。

これらは角運動量を表し、式(1)と(2)の右辺が$0$であることから$\phi$と$\psi$に関する角運動量が時間に関わらず一定であることが分かります。

角運動量が慣性モーメントと角速度の積で表せることを思い出しましょう。すなわち、角運動量$p_{\psi}$と$p_{\phi}$は定数を$a, b$として、

\begin{split}
& p_{\psi} = I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi}) = I_3 \omega_3 = aI_1 \EE
& p_{\phi} = (I_1\sin^2 \theta + I_3\cos^2 \theta)\dot{\phi} + I_3\dot{\psi}\cos \theta = bI_1
\end{split}

とできるということです。($I_1$と$I_3$の次元が等しいため、不足分を定数部分として押し付けまとめることができます。)

第一式より、

\begin{split}
& I_3\dot{\psi} = aI_1 \,- I_3\dot{\phi}\cos \theta
\end{split}

となり、これを第二式に代入して$\dot{\psi}$を消去すると、

\begin{split}
bI_1 &= (I_1\sin^2 \theta + I_3\cos^2 \theta)\dot{\phi} + I_3\dot{\psi}\cos \theta \EE
&= (I_1\sin^2 \theta + I_3\cos^2 \theta)\dot{\phi} + (aI_1 \,- I_3\dot{\phi}\cos \theta)\cos \theta \EE
bI_1 &= I_1\dot{\phi}\sin^2 \theta + aI_1\cos \theta \EE
\therefore \, \dot{\phi} &= \ff{b \,- a\cos \theta}{\sin^2 \theta}
\end{split}

$\dot{\phi}$が求められます。

これより$\dot{\psi}$が

\begin{split}
\dot{\psi} &= \ff{I_1}{I_3}a \,- \ff{b \,- a\cos \theta}{\sin^2 \theta}\cos \theta
\end{split}

となります。$\dot{\theta}$について導出するためには、三つ目の方程式が必要です。

今回は外力が働かないため、コマの全エネルギーは時間に依らず一定になります。ということで、エネルギー保存則を三つ目の方程式として採用できます。

すなわち、

\begin{split}
E &= T + V \EE
&= \ff{1}{2}I_1\big( \dot{\theta}^2 + \dot{\phi}^2\sin^2 \theta \big) + \ff{1}{2}I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi})^2 +Mgl\cos \theta \EE
&= const.
\end{split}

であり、$\dot{\phi}$と$\dot{\psi}$の先ほどの関係式を代入すると、

\begin{split}
E &= T + V \EE
&= \ff{1}{2}I_1\big( \dot{\theta}^2 + \dot{\phi}^2\sin^2 \theta \big) + \ff{1}{2}I_3(\dot{\phi}\cos \theta + \dot{\psi})^2 +Mgl\cos \theta \EE
&= \ff{1}{2}I_1\dot{\theta}^2 + \ff{1}{2}I_1\ff{(b \,- a\cos \theta)^2 }{\sin^2 \theta} + \ff{1}{2}I_3\omega_3^2 + Mgl\cos \theta \EE
&= \ff{1}{2}I_1\dot{\theta}^2 + \ff{1}{2}I_1\ff{(b \,- a\cos \theta)^2 }{\sin^2 \theta} + \ff{I_1^2}{2I_3}a + Mgl\cos \theta \EE
E \,- \ff{I_1^2}{2I_3}a &= \ff{1}{2}I_1\dot{\theta}^2 + \ff{1}{2}I_1\ff{(b \,- a\cos \theta)^2 }{\sin^2 \theta} + Mgl\cos \theta \EE
\end{split}

とでき、両辺を$I_1$で割ると、

\begin{eqnarray}
\ff{2I_3E \,- I_1^2a}{I_1I_3} &=& \dot{\theta}^2 + \ff{(b \,- a\cos \theta)^2 }{\sin^2 \theta} + \ff{Mgl}{I_1}\cos \theta \EE
\alpha &=& \dot{\theta}^2 + \ff{(b \,- a\cos \theta)^2 }{\sin^2 \theta} + \beta\cos\theta \tag{3}
\end{eqnarray}

とできます。$\theta$と $\dot{\theta}$のみについて式を表すことに成功しました。

※ 左辺は定数であるため、これを$\alpha$とでき、同様に$\DL{\ff{Mgl}{I_1}}$を定数$\beta$と置きました。

三次方程式の解と章動

さて、求めたいのは$\dot{\theta}$すなわち$\theta$の時間変化ですが、少し遠回りをして$\cos\theta$について調べます。

$u = \cos\theta$として式(3)の変形を行うと、

\begin{split}
\alpha &= \dot{\theta}^2 + \ff{(b \,- a\cos \theta)^2 }{\sin^2 \theta} + \beta\cos\theta \EE
&= \left( \ff{\diff \theta}{\diff u}\ff{\diff u}{\diff t} \right)^2 + \ff{(b \,- au)^2 }{1-u^2} + \beta u \EE
\left( \ff{1}{\ff{\diff u}{\diff \theta}} \ff{\diff u}{\diff t} \right)^2 &= \alpha \,- \ff{(b \,- au)^2 }{1-u^2} \,- \beta u \EE
\ff{1}{\sin^2 \theta}\dot{u}^2 &= \alpha \,- \ff{(b \,- au)^2 }{1-u^2} \,- \beta u \EE
\therefore \, \dot{u}^2 &= (1-u^2)(\alpha \,- \beta u) \,- (b \,- au)^2 \EE
\end{split}

となります。

厳密に$\dot{u}$の変化を計算し、$\dot{\theta}$を求めに行っても良いですが、今回興味があるのは定性的な$\dot{\theta}$の振る舞いを調べることです。

具体的には$\dot{\theta}$の符号変化を追うことが興味の対象になります。

ここで上式の左辺を$f(u)$とし整理すると、以下のように三次方程式が導かれます。

\begin{split}
f(u) &= \beta u^3 \,- (\alpha + a^2)u^2 + (2ab-\beta)u + (\alpha \,- b^2) \EE
\end{split}

さて、$f(u) = 0$の解は$\dot{\theta}$の符号が切り替わる角度となります。($\dot{\theta} = 0$で$\dot{u} = 0$となり$f(u) = 0$となるため)

三次方程式の解として、複素数の場合も考えられますが今回は物理的に意味のある解に興味があるため、実数解を持つ場合のみを考えます。

実数解のみの場合でさらに、三個の実数解を持つパターンに着目します。

$u$の範囲については後ほど考えるとして、一旦$u$が実数全体を取るとします。

$u$が十分大きくなると$\beta u^3$が支配的になるため、$1 \ll u$では$f(u) > 0$となります。また、$u \pm 1$で$f(u) = -(b \mp a)^2 < 0$となります。これより、少なくとも一つの解が$u>1$の領域にあることが言えます。

実際には$-1 \leq u = \cos \theta \leq 1$であることを思い出すと、この解が物理的な意味を持つことが無いと判断できます。

さらに、$f(u) = \dot{u}^2 \geq 0$でなければ物理的な運動として成立しないため、$f(u) \geq 0$である必要があります。

以上のことから、コマの運動が$-1$から$1$の範囲かつ$f(u)$が正となる範囲に絞られることが判明しました。

したがって、物理的に可能な運動を与える$f(u)$の範囲を斜線部で示すと下図のようになります。

三次方程式の解

$f(u) = 0$の実数解を小さいほうから$u_1, u_2, u_3$とすると、コマは$u_1$から$u_2$の範囲で回転軸が行ったり来たりする運動をすることになります。

軸の軌跡を球面上で描くと次のような3つのパターンが存在することが知られています。

真ん中のパターンでは軸が左右に行ったり来たりする複雑な運動をすることになります。

章動運動のパターン

※ $\theta_1 = \arccos u_1, \theta_2 = \arccos u_2$としています。$u_1 < u_2$のため$\theta_1 > \theta_2$となります。

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